USB PDが240Wにパワーアップ! ケーブル1本でOKの夢に近づく

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  • author 塚本直樹
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USB PDが240Wにパワーアップ! ケーブル1本でOKの夢に近づく
Image: Sam Rutherford

ヒーターもUSB-Cで給電できたらなw

USB-Cケーブルで大容量の給電ができるUSB Power Deliveryが大幅にアップグレードされ、最大送電能力の上限が100ワットから240ワットに引き上げられました。

USBの関する最新のアップデートは、USB-IFが最近リリースした「USB Type-C Cable and Connector Specification」のリビジョン2.1によるものです。バージョン2.1での大きな変更点は、USB-IFがUSB Power Deliveryの最大電力制限を100ワットから240ワットに引き上げたこと。これにより、USB-PDでは専用の電源アダプターを使用せずに、ごく一部の超高性能なのノートパソコン以外なら十分な電力を供給できるようになります。

USB-IFによれば、USB-PDが100ワットから240ワットまでの電力伝送をサポートすることを「Extended Power Range」(EPR)と呼んでおり、最大48ボルトかつ5アンペア(240ワット)の電力をケーブルが扱えることが主な条件となっています。またこれまでのUSB規格と同様にEPRに対応したUSB-Cケーブルは、既存のUSB-PDデバイス(スマホやノートPC)との下位互換性があります。

残念ながらUSB-PDの新しい機能を利用したい場合は、新しいケーブルを購入する必要があります(あるいは、ノートパソコンメーカーがケーブルを同梱するのを待つ必要があります)。一方で、EPRに対応したUSB-Cケーブルには「EPRケーブル識別項目を目視で確認できるようにすること」とUSB-IFが義務付けており、どのケーブルなのかを見極めるのに役立つはずです。

USB-IF

今回の大事なポイントは、USB-PDの上限を240ワットに引き上げることで、独自の電源ケーブルを必要としない、より大きくよりパワフルなノートPCを作ることがより容易になることです。一般的にXPS 13のような新型の13インチおよび14インチのノートPCは、必要な電力が100ワット未満であるため、メーカーはUSB-PDで十分充電することができました。

しかし、15インチや17インチの大型ノートPC、特にゲーミングノートPCになると消費電力が大きくなるため、メーカーは独自の充電アダプタを同梱せざるを得なくなります。またMSIのStealth 15mのように以前のバージョンのUSB-PDをサポートしていても、システムの総消費電力が最大150ワットであるためUSB-PDによる充電はMSI独自の充電器よりも遅く、高負荷時にはUSB-PD経由の充電だけでなくバッテリーからの電力を必要とするケースもありました。

とはいえ240ワットという新たなな上限であっても、大型のモバイルワークステーションやデスクトップを代替するノートPCでは、EPRによるUSB-PDで安全に供給できる以上の電力を必要とするものもあるでしょう。しかし小型のシステムなら、EPRによるUSB-PDは1本のケーブルとコネクターですべての機器に対応することができるという夢に近づいているのです。