OnePlusのOppo統合でAndroid端末の「個性」は失われてしまうのか?

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OnePlusのOppo統合でAndroid端末の「個性」は失われてしまうのか?
Image: Sam Rutherford/Gizmodo US

ちょっとモヤモヤ。

先日、OnePlusがOppoと組織的統合を進めることが発表されました。OnePlusのPete Lau CEOは、統合してもOnePlusはOnePlusというブランドのまま独立して続くと言っているので、OnePlusがなくなる心配はありません。OnePlusファンはほっとしたことでしょう。でもね、ほっとしつつも不安はあるんです。

OnePlusは最高に個性的なブランドだった

Androidの良さは「選択肢のあるプラットフォーム」であること。iOSとは異なり、Androidという同じプラットフォーム上で、異なる企業の多種多様な端末から好きなものを選ぶ、それがAndroidを使う利点です。しかし、その選択肢がよくよく見ればどれも同じものだなんてことになったら、それは選択肢があると言えるのでしょうか。OnePlusとOppoの統合は、このAndroidの魅力を揺るがすものになるのではと懸念しています。

Android端末のメインストリームを行くのは、やはりGoogleとSamsungの端末。その中で、OnePlusは安価かつパワフルな端末で人気を集め、Androidファンがついアツくなるような端末を作ってきました。GoogleのNexus端末がかつてそうだったように、エッジの効いた攻める端末。つっこみどころはあっても、それがまた味になる端末です。

小さな端末メーカーとしてスタートしたOnePlus。キャッチコピー「Never Settle(落ち着くな)」は有名です。端末購入前にクジを引くのがお決まりで、それがファン獲得に繋がったかと思います。OnePlusの個人的な思い出は、飛行機登場前の列で、連れ相手にOnePlus Oneがいかに素晴らしい端末であるかを熱く語っていた男性客のこと。OnePlus Oneは、Snapdragon 801プロセッサ搭載、メモリ3GB、容量16GBで300ドルという、あの当時では本当に驚きの良端末でした。

2015年、共同創設者のCarl Pei氏がVentureBeatのインタビューでこう語っていました。キュレーションが必要だ、と。価格を抑えたスマホに詰め込むべきベスト機能は何なのか、これをどう選んでいくべきかという話でそうコメントしたのです。(Pei氏といえば、OnePlusを離れ、今は注目のスタートアップNothingに注力しています。)

Never Settleの精神は、Oppo統合のリリースにも書かれている通り、今もOnePlusに受け継がれています。が、ビジネスが成長していくなか、多少はSettle=落ち着かなくてはいけなくなってきたのではないでしょうか。いつか、どこかで根をはらねばならぬ時がくる、それが世の常なのでしょうか。

でも近年は…

近年のOnePlusには、多少の方向転換が見られます。かつての手の出る価格帯の端末にスペック詰め込みまくるという魅力は、端末の値上がりによって半減。フラッグシップ端末の価格はSamsungレベルまであがってきてしまいました。代わりにHasselbladとコラボしたり、5G対応したり、バッテリー持ちや高速充電で新たな魅力をアピールしようとしています。が、正直、OnePlusファンは「OnePlusはソレじゃない」と思っているはず。だって、そういう魅力はハイエンド端末のプレミアム機能でいいわけですから。

さらには、中価格帯(Nordモデル)を投入しターゲットの拡大にも力をいれているようです。この上にOppoがメインで指揮をとれば、さらに変わっていく可能性は大。伸び悩む米国シェアに対して企業がとった対策は、モデル数を増やし、より多くの層にリーチすること。つまり、限定的な魅力でファンを獲得するのではなく、数で勝負してより一般的な広い層にアピールしようとしているのです。これは、OnePlusらしさが失われてきている証に思います。

OnePlusらしさがなくなるという不安がある一方で、Oppoとの統合に期待もあります。それは、ソフトウェア方面ですね。OnePlusあるあるに、ソフトウェアアップデートの遅さ、不安定さがあります。が、これがOppo統合で大きく改善される見込み。統合リリースでも、Lau CEOが、リソースが増えることでより効率的に動ける、結果安定かつスピーディなソフトウェアアップデートにつながると言っていますから、これは間違いなく期待していいかと。ちなみに、OnePlusのOS「OxygenOS」は、中国では廃止されたものの、中国国外=グローバル市場ではそのまま残る予定とのこと。

Oppoとの統合がすすんでも、今のところは(たぶんPete Lau氏がいてくれるかぎりある程度は)OnePlusのOnePlusらしいOnePlus精神は受け継がれていくでしょう。多少「Settle」したとしても、どっかり大きなイスに座ることはなく、ある程度の広さの部屋の中を楽しく駆け回ることはできると思います。ファンとしては、その部屋の広さってどれくらいなのかが気になるのですが。部屋の広さが時と場合によって、自在に変化しないか不安なのですけれど。それでも、Oppoという巨大企業の後ろ盾があれば、部屋の中だとしても、走りやすくはなるはず。米国マーケットにて、チャイナスマホの一角として1つの地位をがっしりキープしやすくはなるはず。

統合によって、OnePlusはどう変わっていくのか。その答えがわかるのは、もう少し先のことです。OnePlusというブランドが残ったとして、それが名前だけではファンは納得できません。OnePlusがOnePlusたる所以である、Never Settleの精神がOnePlusらしい方向で維持されないと、OnePlusは消えたも同然なのですから…。