先週、発掘史上最も大きいとされるトリケラトプスの骨格化石がおよそ770万ドル（約8億7000万円）で落札されたとロイターが報じています。オークション開始前の予想落札価格は170万ドル（約2億円）でした。
この化石は｢ビッグ・ジョン｣という愛称で呼ばれていて、2014年に米国サウスダコタ州の私有地で発見されたもの。腰までの高さが8フィート（約2.4m）、全長およそ23フィート（約7m）で、頭蓋骨だけで長さ9フィート（約2.7m）近くあります。
この珍しい骨格化石は6600万年前のものと推定され、全身骨格の約60％、頭蓋骨の約75％がそろっているのは現代の古生物学では非常に高い割合です。
古生物学者のIacopo Briano氏はNBC Newsに対し、｢ビッグ・ジョンの全体的な質は、本当にこの価格にふさわしい｣とコメント。｢トリケラトプスとして、そして草食恐竜としてもです。これは信じられない記録｣だそうです。
NBC Newsによれば、フランスで行なわれたオークションでこの化石を競り落としたのは匿名の民間バイヤーとのこと。しかしその人物の代理人を通してこのバイヤーがアメリカ人であることが判明しており、｢このような代物を私的に所有できることに、非常に感激している｣とのコメントも明らかになっています。
このような骨格標本が個人の手に渡るのは非常に厄介なことです。価格が高すぎるせいで博物館が貴重な標本を一般公開用に購入できないことになり、度々物議を醸してします。
オークションの専門家らは、貴重な恐竜化石に対する需要がそれらを買う余裕のない博物館を犠牲にして価格をつり上げたと言います。
競売人のAlexandre Giquello氏は、ビッグ・ジョンの販売価格も裕福な個人収集家が恐竜の化石の｢新たな市場をつくっている｣証拠だと述べていました。
昨年、完璧に近いティラノサウルスの化石標本はオークションで世界記録となった3180万ドル（約36億円）で売られています。
とBBCは報じています。博物館が所有すべきものかもしれませんが、大富豪であれば同じことをしてしまう人もいそう。巨大なトリケラトプスの化石を邸宅に飾るなんて夢がありますもんね。
