NASAの次世代ロケットSLS完成! 打ち上げは来年2月を予定

  • 9,976

  • author George Dvorsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • たもり
  • X
  • Facebook
  • LINE
  • はてな
  • クリップボードにコピー
  • ×
NASAの次世代ロケットSLS完成! 打ち上げは来年2月を予定
宇宙船「オリオン」をSLSロケットへと輸送するクレーン
Image: NASA / Chad Siwik

SLS(スペース・ローンチ・システム)ロケットの組み立て作業を終えたNASAは、先週プレスカンファレンスを実施。そこでアルテミス計画についての日程が発表されました。月面を目指すアルテミス計画の準備を進めるNASAにとって、宇宙船「オリオン」の搭載に成功したことは大きなマイルストーンとなります。

SLSロケットは組み立てが完了し、その高さは101メートルになりました。NASAのエンジニアチームがフロリダ州のケネディ宇宙センターで組み立て作業を終えたのは10月21日の真夜中を迎える直前のこと。ロケットには重さ約33.5トンの宇宙船オリオンに加え、打ち上げ脱出システムも固定されました。今年の初めに始まった組み立て作業とその完成は、NASAにおける重要な節目を示します。

211026SLS2
ケネディ宇宙センターにあるNASAのスペースシャトル組立棟内で、組み立てが完了したSLSロケット
Image: NASA

プレスカンファレンスでは、ケネディ宇宙センターで探査地上システムのプログラムマネジャーを務めるMike Bolger氏がSLSロケットを上から下まで見て驚いたと報道陣に語り、「すごい光景」だと評していました。ロケットは現在、NASAのスペースシャトル組立棟(VAB)に預けられていて、Bolger氏はロケットが発射台にロールアウトされたら、さらに興奮するだろうとも発言しています。

NASAのジョンソン宇宙センターでオリオン計画マネジャーを務めるCathy Koerner氏は、ロールアウトに向けてオリオンを準備万全にするために彼女のチームはあらゆるテストを実施したと語っていました。アルテミス1ミッションはオリオンにとって2度目の宇宙へのフライトに該当しますが、深宇宙へ行くのは初めてです。プレスカンファレンスの中でKoerner氏は「オリオンがそのために設計された環境の中で機能するのを見ることにワクワクしています」と述べていました。

次世代大型ロケットの初めての打ち上げ、つまり大いに期待されているアルテミス1ミッションの実現がようやく見えてきたのです。このテストフライトではロケットが無人のオリオンカプセルを宇宙に投入し、オリオンは月面に着陸せず月を周回して帰ってきます。テストが成功すれば、2023年内予定のアルテミス2(NASAの宇宙飛行士が搭乗するのを除けば同じようなミッション)の準備を整えることになります。

プレスカンファレンスではアルテミス1の打ち上げ日が発表され、ミッションの実施に近づいていることが極めて明白になりました。アルテミス1のミッションマネジャーMike Sarafin氏は、SLSロケットは早くて東部夏時間の2022年2月12日午後5時56分に打ち上げられるとコメント。包括的な打ち上げウィンドウは2月27日まで開かれます。もしSLSが2月中に打ち上げられなかったら、NASAは3月12~21日と4月8~23日の間に再挑戦する予定です。

2週間ごとのパターンになっている理由はいわゆる“三体問題”と関係があって、打ち上げウィンドウは地軸の傾き、月の周期、そして地球帰還時には日中に着水する必要があることに影響されるとSarafin氏は説明します。

211026SLS3
オリオンは現在SLSの上に搭載されています
Image: NASA / Frank Michaux

発表された打ち上げ日程は、通信システムの検証にカウントダウンテスト、地上システムのテスト、ロケットの燃料タンクに推進剤を注ぐウェット・ドレス・リハーサルといった近々行われるテストの数々と現在進行中の評価に左右されます。ウェット・ドレス・リハーサルの明確な日程は不明ですが、探査システム開発のTom Whitmeyer副次長補は、1月に行うのが理想だと述べていました。

Whitmeyer副次長補は、レポーターたちに「特に新型コロナがもたらした問題を考えると、私たちのとてつもない前進にとても興奮しています」とコメント。しかし、彼は日程に関しては「ハードウェアに飛ぶ準備ができたら飛びます」と釘を刺していました。

プレスカンファレンスでは、マーシャル宇宙飛行センターのSLSプログラムマネジャーのJohn Honeycutt氏がチームはテストを完了させ、統合の作業に取り掛かっていると述べていました。アルテミス1はSLSからの初めての試験発射というだけでなく、多くの新たな地上システムにとっても初のテストになると付け加えています。

Sarafin氏は、スタッキングの完了は重要な節目であり、大詰めに入ったことを示唆していると言っていました。彼はオリオンの真の飛行条件下での操縦、月から帰還させて安全な再突入の実行(カプセルはマッハ32からマッハ0に20秒で達する)、そして宇宙船の回収といった課題を指摘しながら、アルテミス1が容易な仕事ではないと警告。さらに酵母への放射線の影響を研究するBioSentinelを含む複数のキューブサットの展開も行うと述べていました。

Sarafin氏はオリオンにはカメラが搭載されていて、月とともに32万2000km以上も離れた地球の絶景を背景にした自撮りを期待しているとワクワクしながら語っていました。

アルテミス1と2は、現時点では2024年に予定されている(雲行きが怪しくなってきましたが…)有人月面着陸という究極の褒美のためのテストミッションです。アルテミス計画の主な目的は、2030年代の火星へのミッションの準備として役に立つ長期的で持続可能な月での滞在を確実にすることです。

Source: NASA(1, 2)