敢えて。
世界中の科学者の研究によって、2021年もさまざまな事実が明らかになりました。でも中には「真面目な研究なのはわかるんだけど、写真が怖くない…?」というものも。
そんな記事だけをピックアップしてご紹介します。
一部がミイラ化した古代都市ポンペイ市民の遺骸が発掘される
古代都市ポンペイで、一部がミイラ化した市民の遺体が新たに発掘されました。手の込んだ石製の墓の中に装飾的な骨壺と他の副葬品とともに安置されていたのは、60代で亡くなったと見られる男性の死骨。部分的にミイラ化していたというだけでも十分珍しいですが、なんと彼はかつては奴隷の身分だったものの、自由と社会経済的な成功を掴んでいたことも判明しています。
研究チームは「私のような遺体考古学をしばらく専門に研究している者にとっても、墓の碑文をはじめ骨学的な発見や塗装されたファサードに至るまで、この墓から得られる情報量は膨大で例外的。複数の専門分野にまたがるアプローチを採用する重大性を確認しました」というコメントを出しており、大きな発見であるとのこと。
赤外線で見た木星が怖すぎる
ローマ神話のゼウスにちなんで名付けられた木星ですが、マウナケア山頂にあるジェミニ天文台のジェミニ・ノース望遠鏡が撮影した赤外線画像では、奈落のようにも見えます。
赤外線画像では大赤斑は黒く潰れ、白い雲は暗くなり、通常は深紅色のガス層は火の帯のようになるのです。最後に紫外線で撮影された画像は、まばゆい綿菓子のような惑星です。
人間の脳のオルガノイドを培養したら「目」ができた
国際研究チームがラボで人間の脳を模した組織を培養したところ、つぶらな瞳のようなものがポッカリとでき世界が震えています。左右対称な眼杯で、光も感知できるらしい…。見た目は怖いですが、意識はないから大丈夫だということです。
チームが生成した脳オルガノイドの70%でこのような眼杯の生成が確認されたのだそう。いずれも光を感知する電気的にアクティブな神経系で、しっかりレンズと角膜細胞も付いているとのことです。いや〜これで眼の病気や胚の研究ができるんだから、オルガノイドってすごい…。
史上初、「妊婦のミイラ」が発見される
2,000年前の聖職者の男性だと思われていたミイラが最近の放射線検査で、実は女性でさらには妊婦だったことがわかったというお話。
1920年代と1960年代に棺に刻まれた象形文字を翻訳したところ「Hor-Djehuty」というエジプトの男性聖職者の名前が書かれていたことがわかり、さらに1990年代に行なわれた放射線検査でミイラが男性だと確定されました。しかし、最近の研究で「このミイラが間違いなく女性であることが証明された」と論文には記されています。
実は、ミイラが元々埋葬されていた棺とは違う棺に移されてしまっていることは多々あり、ただ単に違う棺に入れられてしまったのか、もしくは19世紀の古物商の商人が適当な棺に入れて売ったのかは定かではありませんが、このミイラも棺の間違えで性別の勘違いが生まれてしまったようです。
イギリスで発掘された「太い釘が貫通したかかとの骨」からわかったこと
イギリスの考古学者たちが、右足のかかとの骨に釘が刺さった人骨を発掘しました。この骨の人物はローマ人により磔刑にかけられたらしいのですが、磔刑のここまではっきりした証拠は非常に珍しいようです。
ローマ時代の磔刑についての記録はたくさんあるのですが、物的証拠はきわめてまれです。発掘作業を率いたIngham氏は「磔刑に関する歴史上の言及や絵画表現は無数にあるものの、今回の発見は、誰かがどのように磔刑に処されたかを示す説得力ある物的証拠としてはほんの2例目なのです」と言います。
骨の分析結果を見ると、この人物は死亡する前にかなりの苦痛を受けていたようです。「脛骨幹と腓骨幹の新生骨は、全身性疾患、または拘束や足かせのような局所刺激による感染または炎症を示している」と論文にはあります。またこれらを総合すると、「この人物は苦痛や病気、またおそらくは刑罰によって動けなくなっており、病気または外傷の複合的な状態にあるようだ」ともしています。
米ワシントン州には「人間の遺体を土に還す施設」がある
ワシントン州に地元の理解を受けて、2021年1月から自然有機分解(Natural Organic Reduction:NOR)の施設がオープン。土葬・火葬並みの費用でご遺体を30日で土にする急速コンポスティングのサービスを行なっています。
土葬も火葬も嫌。どうせ死ぬなら木や花になりたい。そんな人類の願いを叶えようと、米ワシントン州に続きコロラド州でもご遺体コンポスティングの合法化法案が議会で可決され、知事のサインを待つばかりとなりました。
ムーブメントの火付け役は、分解葬ビジネスをシアトルで展開するKatrina Spadeさん。医師一族の出で、食事中に遺体の話が出るような環境で育った人です。大学では文化人類学を学び、院では建築デザインを専攻、修士論文「都会の遺体が眠る場所」で数々の研究費がついて5年前にTEDでアイデアを発表して一躍脚光を浴びました。
Source: Pompeii Sites, International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA/NASA/ESA, M.H. Wong and I. de Pater (UC Berkeley) et al., Twitter, Elke Gabriel, Journal of Archaeological Science, Warsaw Mummy Project, Albion Archaeology, Coucil for British Archaeology, ReCompose