世界最大のホビードローンメーカーであるDJIが、自社製品が軍事利用されているという報道を問題視し、ロシアとウクライナでの販売を一時停止するとわかりました。世界で多くの企業が経済制裁としてロシアボイコットを進めていますが、中国は深センを拠点にするDJIだけに、一時的とはいえ販売停止は大きな決断なのではないでしょうか。
DJIのドローンはあくまでも一般消費者向けの民生用プロダクトであることをふまえ、国家間の戦闘で利用される状況を容認するのはコンプライアンス違反に当たるか、現在検討中だということです。DJIは、今月21日にも、自社プロダクトに武器を装着するのは企業の信念に反するという声明をオンラインで発表していました。
DJI「軍事利用は私たちの信念に反する」
米Gizmodoの取材に対し、DJIはこう回答。
民生用としてプロダクトを製作しており、軍事用としてデザインされたものはありません。軍事利用は私たちの信念に反するものであり、法に違反する可能性も考えられます。コンプライアンスレビューではさまざまな事柄が検討されますが、中には輸出規制も含まれます。
DJIは米連邦通信委員会の一部から、データを収集し中国政府に渡す懸念があるなど、国家安全を脅かす可能性(現時点で証拠なし)あるとしてアメリカでは禁止すべきという声もあがってます。ロシア・ウクライナでの販売停止は、米国への配慮もあるのかもしれません。一方で、40%が中立、30%がロシア支援、20%がロシア支援という中国では、ロシアボイコットには反対する人も少なくありません。ロイターによれば、中国版Uberと言われるDiDiがロシアボイコットを検討したさい、中国国内から批判の声があがり撤回しており、DJIの今後の対応の難しさが伺えます。