干ばつのせいで、イタリアでは第二次世界大戦時の沈没船が姿を現す

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  • author Angely Mercado - Gizmodo US
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干ばつのせいで、イタリアでは第二次世界大戦時の沈没船が姿を現す
写真は2019年のポー川
Image: Federico Fermeglia / Getty Images

イタリア最長の川の水位が異常なほど低下したため、沈没していた第二次世界大戦時の艀(はしけ)が姿を現しました。

Zibelloという艀が出現したのは、イタリア北部の村グアルティエーリ近くの水域。この船は第二次世界大戦中には木材を運ぶために使われ、1943年に沈没したとAP通信は報じています。ガーディアン紙の報道によれば、これまでポー川の水位が低かった時には船の船首部のみが見えていたそうですが、今年は、船体の大部分が水上に出てしまっている状態です。

下記ツイート動画の20秒あたりで確認できます。

地元のアマチュア写真家Alessio Boninさんはガーディアン紙に、「3月の時点であんなに露出した船を見るのはかなり衝撃的だった」と語っていました。「この時期にこれほどの干ばつは見たことがない。私たちの一番の懸念は川の洪水だったが、今では川が消えてしまうんじゃないかと心配している」とのこと。

Boninさんは、船体が目立ってきた3月に艀の写真をドローンで撮影しました。AP通信によると、ポー川で110日間以上干ばつが続いた結果、ここまで露出してしまったとのこと。この川はイタリアの農業やヴェネツィアなどの大都市の水源となっています。人々が干上がった川底を歩けるほどに水位が低くなった地域もあるとか。

アルプス山脈は北イタリアに延びていて、その雪解け水は通常ポー川のような大きな水域に流れ込みますが、山脈を覆う雪の量は少なくなり、年々緑化の一途を辿っています。他の大河川や貯水池も変動する気候の影響を受けています。最近の研究では、欧州は2018年から2020年にかけてこの200年超で最悪の干ばつに見舞われたと判明しました。

干ばつによって、世界各地の古代の建造物や遺跡が露出しつつあります。スペインでは、冬季に乾燥していたため貯水池の水位が下がり、水没したAceredo村が数十年ぶりに再び姿を現しました。訪れた人々はゴーストタウンと化した町の街路を歩くことができるほどだったとか。イラクのティグリス川でも水位の低下によって、青銅器時代の古代都市が出現しています。

アメリカ西部では、干ばつによってミネソタ川岸から8000年前の頭蓋骨の一部が露出。そこまで古くない事例だと、ネバダ州のミード湖からはドラム缶に入った遺体が出てきています。しかも身の毛もよだつような発見の約1週間後には、同じ湖でさらに多くの人骨が発見されていました。干ばつはますます増加する傾向にあるので、湖や川の底に沈んでいた秘密が明らかになる機会が増えそうです。

Source: AP, The Guardian, ScienceDaily, UN News,