ちょっと怖いんでちゃんとしてもらっていいですか?
今月24日、宇宙ステーションへ新しいモジュールを届けるため、中国が大型ロケット長征5号Bを発射したのですが、制御不能になってしまったらしいです。
長征5号Bは海南にある文昌衛星発射場から中国時間7月24日の午後2時22分に発射されました。発射してから13時間後、宇宙ステーションの基幹施設「天和」とモジュール部分のドッキングが成功したと中国のメディアは伝えています。
これだけ聞くと大成功なんですが、ドッキング後にいらなくなった21トンのロケットのコアステージ部分が軌道上制御不能となっていることが判明。このままだと地球に落っこちてきます。普通は制御しながら海域へ落とすのですが…。中国は過去に2回ロケットの残骸を海や海岸沿いの居住地域に落としてしまったことがあり、宇宙ごみへの姿勢について非難されています。東京にドカーン!という可能性は低そうですが、もちろん被害のリスクはゼロではありません。
Two objects cataloged from the CZ-5B launch: 53239 / 2022-085A in a 166 x 318 km x 41.4 deg orbit, 53240 / 2022-085B in a 182 x 299 km x 41.4 deg orbit. Orbital epoch of ~1200 UTC confirms that the inert 21t rocket core stage remains in orbit and was not actively deorbited.
— Jonathan McDowell (@planet4589) July 24, 2022
ハーバード・スミソニアン天体物理観測所の天文学者Jonathan McDowell氏の計算によると、ステージ部分はおそらく1週間くらいで地球の大気圏に到達する見立てだそうです。「落下がいつどこになるかは予測できません。そもそもこれだけ大きなロケットの一部分が制御不能な状態で軌道上に放置されるべきではないですが。予想される人的被害は大きくなくとも、安心はできませんね」と話しています。
アジア太平洋宇宙協力機構のディレクターであるXu Yangson氏は中国メディアに対して「ロケットは制御されて戻ってくる」と話したそうですが、残念ながらその通りにはならない模様。8月には新たな打ち上げも予定されていますし、なんとか安全性を高めてほしい。長征5号Bについては、この1週間以内に突然制御を取り戻すなどしない限り、地球への落下は免れなそうです。
7月28日更新
アメリカの研究機関エアロスペース・コープによると、コアステージ部分は7月30日の23時21 分(日本時間:7月31日8時21分)に落下予定とのこと。