ブラジルで違法採掘された金がApple、Google、Microsoft、Amazon製品に使われている

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ブラジルで違法採掘された金がApple、Google、Microsoft、Amazon製品に使われている
Image: Apple

足りないのはだけじゃないのね…。

資源あるところに紛争あり。それは水争いの昔から変わるところはありません。関東農政局のサイトにはこんな活劇調の記述もあるほどです。

水争いの激化

九十九里平野の水争いは、江戸時代から昭和に至るまでに50数回記録されていますが、これは訴訟をともなうような大きな争いであり、小さな水ゲンカはいつも起こっていました。前述したように、時代が後になるほど増えてきています。千葉の県民気質は陽気で義理人情に熱いが、漁師の気質も混じって血の気が多いなどと言われたりします。水争いも半端ではなく、竹やり、日本刀、時にピストルや猟銃など物騒な武器まで登場します。 明治27年、栗山川(くりやまがわ)の水をめぐって両岸の農民2百数十名が、手に鍬、鋤、竹やり、日本刀、仕込杖などを持ち白装束を着て激突、不幸にも2人の犠牲者を出しています。 (関東農政局

「水争いも半端ではない」なら金争いはどうなっちゃうの?ってなもんですが、「世界の肺」であるアマゾンにおいても資源をめぐる流血の争いは絶えなくて、このほど違法な採掘、環境破壊の疑いで2つのメジャーな精錬所にブラジル警察の捜査が入っていたことが現地紙Repórter Brasiの報道で明らかになりました。

採掘現場はアマゾンの密林にある先住民居住区。2020年から2021年にかけて、イタリアのChimetとサンパオロのMarsam、2つの企業傘下の精錬所を通して、主にApple、Microsoftのスマホとパソコン、Google、Amazonのサーバに金は使われていたとのことです。

先住民居住区での採掘が違法なことは先刻承知済みなのですが、それでも止まらないのが採掘です。違法に重機、燃料、バックホーンが空輸され、採った金は世界中の会社に売られていって、現地の山は荒れ、川は水銀で汚され、資源販売利益で反政府勢力の懐が潤い、それを元手に採掘事業がまたまた拡大し、先住民を武装勢力が襲う事件も近年は頻発する悪循環で、ついには上記2社に違法採掘、環境破壊の疑いでブラジル警察の捜査の手が伸びたというわけです。

問題は、環境保護を高らかに謳うApple、Amazon、Google、Microsoftまでもがその血塗られた金を製品に使っていることです。米国の証券取引所に上場している企業は資源の仕入先を報告する義務があるんですが、捜査の入ったChimetとMarsamはいまだに欧米では認証企業の扱いになっていて、それ以上は突っ込まなくていいようになってるんですね。

現地紙Repórter Brasilからの取材に対し、回答したのはAppleだけでした。その回答も「もうMarsamからは買ってない」というもので、残る1社(Chimet)については触れずじまい。それを知ってからAppleの環境保護のページを見ると微妙で、きれいごとだけじゃ世の中は回らないよってなります。奥地の奥地を切り崩して金を採り出すことが、どれほど罪深いことで、どれだけの犠牲を払うことなのか。思いをいたすこともなく、ただメーカーに無理難題吹っ掛けてる消費者のわれわれも同罪ですよね。わが身が呪わしい。

Marsamはリオ五輪の金メダルをつくった会社でもあり、その金を買ってる米上場企業はMicrosoft、Tesla、Amazonをはじめ数百社にものぼるとAPは年初に報じています。日本は何社なんでしょうね…。知りたいような、知りたくないような。

Sources: Repórter Brasil via 9to5mac