ライフハッカー［日本版］2021年9月6日掲載の記事より転載。記事中の情報は掲載時点でのものです。
最近の大手テック企業に対して、疑心暗鬼になるのもわかります。
今日は、あるテクノロジーに注目してみましょう。AppleのFace ID（顔認証）です。この技術は、誰が何と言おうと100％安全で、あなたのiPhoneのセキュリティを強化するものにほかなりません。
指紋認証や、パスワードだけでロックを解除するスマートフォンに慣れている人は、スマートフォンによって顔をスキャンされることに不安を覚えるかもしれませんね。
顔認証やスマートフォンのトラッキングの安全性が議論される中、顔という大切な情報へのアクセスを許可するのは、ちょっと危険だと感じる人もいるでしょう。
けれども、Appleはアリア・スターク（TVドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』に登場する戦士）ではありません。
あなたのFace ID情報を見ることはないのです。そればかりか、Face IDではあなたの顔写真を撮ることもありませんよ。
Face IDを機能させるためにiPhoneがどのような情報を使っているか見られるなら、それがただ数字が並んだだけの、識別できないデータだとわかるでしょう。
なぜFace IDはそれほど安全と言えるのか
最初にFace IDを設定するとき、iPhoneのTrueDepthカメラは、3万個の目に見えないドットを放出してあなたの顔をスキャンします。
すでに説明したように、カメラであなたの顔写真を撮るわけではありません。そうではなく、この目に見えないすべてのドットから情報を得て、それを｢数学的データ｣に変換するのです。あなたも私もAppleも、目で見ただけではそのデータを理解できません。
それからそのデータは暗号化され、あなたのiPhoneの中にある、｢Secure Enclave（セキュア・エンクレーブ）｣と呼ばれるところに保存されます。
このSecure Enclaveが鍵なのです。
暗号化されたあなたのFace ID情報は、決してあなたのiPhoneの外に出ることはありません。バックアップを取ってもiCloudにアップロードされませんし、どのAppleサーバーにも送信されません。あなたのiPhoneの中に残っているだけで、絶対に外に出ることはないのです。
データは暗号化されているので、あなたのiPhoneだけがそのデータを読み取ることができます。ほかのどのデバイスでも、その｢数学的データ｣を読むことはできません。ですから、Appleのような企業にとっては、そもそもそのデータを取得すること自体が無駄なわけです。
Face IDの仕組み
iPhoneがあなたの顔写真をもっていないなら、あなたがスマホのロックを解除しようとしたときに、どうやってそれがあなただと認識できるのでしょう。
その仕組みがすごいのです。
あなたがiPhoneのロックを解除するとき、TrueDepthカメラは、また3万個のドットをあなたの顔に当て、そのデータからもう1つ数学的データをつくり出します。
それから、その一連の数学的データを、あなたのiPhoneに保存されている数学的データと照合します。一致すればロックが解除されます。一致しない場合は、鍵マークがブルブル震えます。
結論から言うと、Appleはあなたの顔を見ていません。
あなたのiPhoneも、本当はあなたの顔を見ていません。Appleは、あなたのFace IDのデータも見ていません。Face IDのデータは、あなたのiPhoneに安全に保存されていて、あなただけしかアクセスできないのです。
iPhoneで買い物するときなどに、Face IDをアプリの認証に使うことがあると思いますが、その場合も同じことが言えます。アプリは、スキャンした顔のデータが一致するかしないかを知らされるだけで、プロセス中にいかなるFace IDデータにもアクセスできないのです。
安心材料はほかにもあります。
以前iPhoneの｢Touch ID（指紋認証）｣機能を使っていたなら、Face IDはその20倍安全です。Appleの説明によると、別の人がTouch IDをだませる可能性は5万分の1だそうですが、Face IDは100万分の1だということです。
また、Face IDは立体情報に基づいているので、認証には実物の顔が必要です。写真などの平面画像では、センサーをごまかせる見込みはありません。
Face IDは安全性の高いものです。
信頼できるパスワードと併せて使うことで、あなた本人または承認した人以外は、誰もあなたのiPhoneにアクセスできないという安心感をもてるでしょう。
ですから、次にあなたの顔を登録する機会があったら、ぜひやってみましょう。
あなたのiPhoneもAppleも、実際はあなたの顔を見ていないとわかったのですから、安心して利用してください。
