ベゾスの民間宇宙ステーション「オービタルリーフ」の開発がいよいよ現実味を帯びてきた!

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  • author George Dvorsky -Gizmodo US
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  • R.Mitsubori
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ベゾスの民間宇宙ステーション「オービタルリーフ」の開発がいよいよ現実味を帯びてきた!
Image: Sierra Space via Gizmodo US

宇宙からAmazonの荷物、届くかも。

人類の英知を結集した国際宇宙ステーション(ISS)2030年に引退することが決まっており、NASAはその後継機を確保しなければならないというプレッシャーを抱えています。その打開策として、NASAは複数の民間企業を起用することに。そして今、Amazon創業者ジェフ・ベゾス氏が設立したBlue OriginとSierra Spaceの共同プロジェクトが新たなステージに到達したもようです。

新宇宙ステーション、具体的な設計の段階へ

今年6月と7月、NASAはSierra Space社とBlue Origin社のメンバーと共同でオービタルリーフ システム定義レビュー(SDR)を実施しました。こうして、NASAは両社の計画を「実現可能かつ達成可能」と評価。これは、本プロジェクトが設計段階へと駒を進めることになったのです。

Blue Origin社の高度開発プログラム担当シニア・バイスプレジデントを務めるブレント・シャーウッド氏は「今回のSDRはオービタルリーフを前進させるものです」と同社声明で述べています。「私たちは商業的な部分とNASAの要求、双方のニーズに対応しています。オービタルリーフは地球周回軌道における有人宇宙飛行の流れを変えるでしょう」。

プロジェクト進行中の新宇宙ステーションは、NASAの商用地球低軌道開発プログラム(CLD)のもとで開発されています。オービタルリーフプロジェクトにはBlue OriginとSierra Spaceに加え、AmazonサプライチェーンやAmazonウェブサービス、アリゾナ州立大学、ボーイング、ジェネシス・エンジニアリング・ソリューションズ、レッドワイヤー・スペースといった名だたる企業が共同参加しています。ジェフ・ベゾス率いるBlue OriginはNASAから1億3000万ドル(178憶4400万円)もの資金提供を受け、コロラドに拠点を置くシエラスペースも昨年、同プロジェクトのために14億ドル(1922億9000万円)という膨大な額の資金調達に成功しました。アクシアム・スペースやナノラックス、ノースロップ・グラマンの3社もまたNASAのCLDのもと、独自の宇宙ステーションを開発しています。

先日終了したSDRの主要な目標は、オービタルリーフの機能面でのベースラインを確立することでした。それに対し、NASAは「提案されている宇宙ステーションは機能および性能要件を満たしており、構成要素の相互運用性を含むシステムアーキテクチャ(コンピューターシステムの論理的構造)は健全である」と結論付けています。NASAのお墨付きをいただいたという事で、今後Blue OriginとSierra Spaceはオービタルリーフのシステムアーキテクチャや設計面をさらに発展させることになります。

宇宙ステーション内で映画撮影まで行われるかも

オービタルリーフは「複合型ビジネスパーク」と呼ばれ、ISS内部と同程度のスペースに10人の宇宙飛行士を収容可能。微小重力環境での科学実験や宇宙技術開発のためのプラットフォームとして、また宇宙旅行先や映画製作の舞台としても活用される予定です。着工は2026年、そして2027年までの運用開始を目指しているとのこと。

Sierra Spaceのトム・ヴァイスCEOは新しい宇宙ステーションが「我々の工場や都市を宇宙に拡張する」のに役立つと述べています。それは「単なる観光のため」ではなく、「地表からわずか250マイル上空に建つ微小重力工場を使って、次の偉大な発見を解き明かすため」だと彼は言います。

Sierra Spaceは先日、「世界初となる完全統合型の商業用有人宇宙飛行センターおよび宇宙飛行士訓練アカデミー」の建設計画を発表。このアカデミーでは、オービタルリーフへの旅行やミッションを遂行する3タイプの宇宙飛行士を養成する予定です。さらに同社は、地球低軌道に5,443キログラムもの荷物を運ぶための宇宙船”Dream Chaser(ドリームチェイサー)”を開発しています。ドリームチェイサーは2026年までに完成予定で、オービタルリーフや場合によってはISSへの定期的な貨物輸送を行うことができるそうです。