ストック画像サービスのGetty Imagesは、AI作成画像の登録を禁止することがわかりました。最近、AIが作り出す奇妙な画像がよく話題になりますが、GettyとしてはStable Diffusionも、DALL-Eも、もちろんMidJourneyもダメ。すでにGettyに登録済みのAI作成画像も削除されます。
GettyがAI画像禁止に乗り出したのは、著作権が理由。GettyのCraig Peters CEOは、The Vergeの取材で、著作権管理を厳しく行なうサービスにおいて、AI作成画像の「未対処の権利問題」は容認できないと語っており、サービスの利用者を守るためにも必要な処置だとしています。
人の手が入っていない画像はNGに
Photoshopなどでがっつり編集した画像は引き続きOKですが、編集に人間の手が入っている必要があります。編集をすべてAIがやってしまうとアウト。AI画像か否かの判断については、画像の中の人物や物を認識する技術を用いるということですが、詳しいことはわかりません。また、Coalition for Content Provenance and Authority(C2PA)と協力し、画像チェックプロセスを開発するということです。一方で、人力、つまりユーザーからの報告も頼りにしていると。
AI画像ジェネレーターは、インターネット上にある無数の画像を使い、新たな1枚を作り出します。AI画像のもととなる画像の中には、著作権のある画像がはいってくることも。ネットユーザーがミームに使うコラ画像はウォーターマークもそのままに堂々すぎる加工がされることがありますが、これらがネットに散らばりAI画像作成に利用されることは少なくありません。Stable Diffusionの画像についてリサーチした、テック系ブロガーのAndy Baioさんは、Stable Diffusionがベースにしている画像データLAIONは、Pinterest、Flickr、Blogspot、Tumblrにポストされている画像を収集していると指摘し、BaioさんがチェックしたLAIONデータベースの画像1200万枚のうち3万5000枚ほどは、Getty Imagesを始め、VectorStockやShutterstockなどの著作権ある画像だったとまとめています。
AI作成画像を禁止にしたのはGettyだけではありません。昨年、クリエイター系コミュニティのNewgroundsもAI画像を禁止。アート系コミュニティのFur Affinityも、アーティストへのメリットがないとして、ポリシーを変更しAI画像を禁止することを発表。同じくアート系のInkBlotもAI画像は認めないと発表しています。
作品としての質が上がり注目度が年々高まる画像作成AIですが、それと比例してとりまく環境も厳しくなってきています。ゼロから作り出す人間のクリエイターと、元となるものが必要なAI。作品の裏にあるものに、まだ大きな差があるようです。