素材の違いを楽しめるスニーカーとの相性、とってもいいと思います。
日本のファッションブランドOnitsuka Tiger(オニツカタイガー)から、新しいシューズ「MEXICO 66™ CACTFUL™」が発表されました。最大の特徴は、メキシコ産のサボテン由来のシンセティックレザーを活用している点。これ、サボテンでできた靴なんです…!
「なんでサボテン? なんでオニツカタイガー?」という点を説明しましょう。オニツカタイガーは1966年のアジア大会に向けて「LIMBER」というトレーニングシューズを開発しました。このシューズをモチーフに生まれたシューズが、今では定番モデルとなった「MEXICO 66」なんです。オニツカタイガーストライプとして知られる4本のストライプの別名は「メキシコライン」ですからね。
そんな長いつながりがある、メキシコとオニツカタイガー。今回の「MEXICO 66™ CACTFUL™」は、メキシコのあちこちに自生しているウチワサボテンを原料としています。なんとも往年のタッグ感があるねぇ
素材についてもう少し詳しく話すと、メキシコに拠点を置くAdrian and Marte社はサボテン由来のヴィーガンレザー「Desserto」を手掛けています。今回のシューズはDessertoの開発者とオニツカタイガーが共同開発した新素材で、シューズに耐えうる耐久性や耐紫外線性を獲得。従来のアニマルレザーに比べ製造過程でのCO2排出量は84.4%削減され、製造時にのこったウチワサボテンは食用に活用されているなど、極めてエコい素材でもあります。サボテンは鑑賞にもよし、食用にもよし、そしてレザーにもなるのだ。
独特の美しさとしなやかさ
発表されたカラーは5種類。こちらは真っ白なカクタフルホワイト。
薄く青みがかったカクタフルブルー。
レモンのように爽やかなカクタフルイエロー。
上品なカクタフルパープル。
そしてもっともサボテンみがあるカクタフルグリーン。いずれもとても鮮やかな色をしていて、緑にいたっては蛍光に近い発色の良さすらあり、とても目を引きます。
履いている様子はこんな感じ。メルバ・プリーア駐日メキシコ大使と、オニツカタイガーカンパニー長の庄田良二氏の足元にご注目。大使いわく「メキシコの国旗にも描かれているサボテンが素材として使われることは、とても意義深いことです」とのこと。なんと国連もサボテンの消費を推奨しているんだとか!
シューズまるごとサスティナブル
通常の「MEXICO 66」の重量が片足約250gなのに対して、「MEXICO 66™ CACTFUL™」」は約228gとかなり軽量。手にしてみると明らかに軽いなと実感します。実際に履いてみることはできませんでしたが、履き心地はさぞ軽やかでしょう。
また、インソールやライニング素材などにも再生ポリエステルが使われており、シューズ全体として環境に配慮した設計になっているのも特徴。このために設計から見直して、100足以上ものサンプルシューズを作ったんだとか。
アッパーの質感とても滑らか。アニマルレザーよりもややサラっとしている印象です。シューレースの先にはウチワサボテンのワンポイントがあって、これもまた可愛い。
アウトソールの形状は「MEXICO 66」に似ています。
ヒール部分も頑丈そう。
タンや履き口周り。ワントーンの統一性が美しい。
つま先の保護剤もサボテン由来。しっかり硬い感触があります。
メキシコ生まれの素材で描かれたメキシコライン。ストーリー性があっていいよねこういうの。
インソールにはMade with CACTUSの文字が。
自然由来のシューズの未来に期待したくなる一足
近年は環境に配慮したアパレル製品がどんどん増えてきています。ナイキやアディダスはもちろん、メレルからはレザーの端材を継ぎ接ぎしたユニークなシューズもあったり。オニツカタイガーとしても今後は自然由来のレザーを積極的に取り入れるそうで、今回の新素材を他の製品にも応用する予定とのことです。
「MEXICO 66™ CACTFUL™」は2023年1月より世界各国で展開予定。価格は1万6500円と、アニマルレザーとそれほどかわりません。環境のことを考えながらも、ファッションを楽しむ。たゆまぬ研究が、人にも地球にも優しい未来を実現してくれそうですよ。
Source: Onitsuka Tiger Japan, MERRELL, AFPBB News