このビジュアル、最高にワクワクしない?
Nothingにとって2つ目となる完全ワイヤレスイヤホン「Nothing Ear (stick)」が、正式に発表されました。リップスティックのような筒型ケースに、AirPodsのようなオープンエア型が特徴。サイズも小さくて持ち歩きしやすそうでしょ?
2021年の9月には、透明イヤホンとして注目されていた「Nothing Ear (1)」が発表されています。デザインは似てるけどどのへんに違いがあるのか、そこも念頭に入れつつ早速チェックしていきましょう。
引き返せないNothing流のパッケージは健在
スティック型だけあって、パッケージの形状もこの通り細長い。相変わらず箱のデザインも良いねぇ。
そしてコレも健在です、ビリビリ破くアンボックス!
もう引き返せない、断腸の思いでビリビリ開けていきます。しかも今回は天面と底面の2箇所をビリビリさせてきます。
フタを開くと筒状のケースがお目見え。ガジェットでもなんでもファーストコンタクトの印象って大事ですけど、この出会い方はインパクトあるわぁ。
反対側のフタからは充電ケーブルが出てきます。半透明のビニールに包まれたショートケーブルで、おそらく「Nothing Ear (1)」のものと同じ。
ユニークな回転式のケース
さぁ、こちらが本体です。筒状のイヤホンケースは「FreeBuds Lipstick」や「EARIN M-2」など、いくつかの先例があります。が、この「Nothing Ear (stick)」は開け方が面白い。
この通り、世にも珍しい回転式! 回転のロックは磁石で制御しているようで、トルクや静止時もすごく自然で心地良いです。Nothingいわく「ひとまずラボでは1万回転まで耐久テストしてる」とのことで、耐久性も信頼できそうですね。
赤いパーツがある面にはUSB Type-C充電、その横に見える銀のパーツはペアリングボタンです。このボタンもパット見はボタンのように見えず、ケースの剛性に関わる軸のように見えました。デザインと機能の融合を感じる。
バッテリーはイヤホン単体で最大約7時間、ケース充電込みで最大約29時間。イヤホンのみの重量は約4.4gで、「Nothing Ear (1)」の4.7gよりもさらに軽量に。IP54の防水防塵性能に対応しています。精度の高い生産工程が防塵性を実現したそう。コーデックはSBCとAACに対応。
オープンエア型のラクさを再確認させてくれた
ケースからイヤホンを取り出すとこんな感じ。「Nothing Ear (stick)」は耳奥にグっと押し込むイヤホンではなく、AirPodsのように耳に軽くフィットさせるオープンエア型になっています。ということは音質にはそこまで期待できないかな〜と、このときの僕は思っていました…。
結論からいうと、かなーり良い音です。AirPods 2と比較するとモコモコさや低音の迫力、高域の鮮明さなどの違いが顕著。誤解を恐れずいうと、AirPodsの上位互換です。オープンエア型の宿命として外音はガンガン入ってきますが、これって最近流行りのながら聞きイヤホンにも似てると思うんですよね。「Nothing Ear (stick)」のラクな装着感&自然な外音の聞こえ方は、ながら聞き用途にもアリ。
新たに12.6mmのドライバーを採用し、ダイヤフラムには特殊コーティングをほどこして歪みを抑制。スピーカーマグネットにも高品質なものを採用し(N52)、パワーと感度が向上。さらにBass Lock Technologyなる新機能により、オープンエアにありがちな低音の抜けを補っています。技術的にはイヤホン装着時にSEが鳴り、その反響に基づいてEQを適宜調整して低音を持ち上げているみたいです。キャリブレーションみたいな感じかな?
操作はスティックをギュッと掴むAirPods Pro式。摘むとピコンと電子音で合図があるので、物理ボタンを操作してる感覚になります。タッチ操作に比べて誤動作しづらく、歩きながらの音量操作や曲送りも快適でした。
実際に「Nothing Ear (stick)」を数日使ってみましたが、久しぶりにオープンエア型の快適さを再認識しました。「今している作業にBGMが欲しいな」くらいの軽いリスニング目的だと、ながら聞きが使いやすい。かといって音質面でも不満は無い。音量を上げれば外音も聞こえにくくなるので、オープンエア型といっても侮ることなかれですよ。
ただし、機能は物足りないです。ノイキャンや複数デバイスと接続するマルチポイント機能はありません。マルチポイントさえあればPCとスマホに繋いで、仕事とプライベートの両面で活躍できていたので、ここはAirPodsに譲るところですね。ケースもワイヤレス充電非対応です。
Nothingエコシステムの根幹を成すアプリが登場
新たなアプリ「Nothing X」も発表されました。NothingはAppleエコシステムのようなハードとソフトをシームレスに行き来するビジョンを持っていますが、その要となるアプリだそう。すべてのNothing製品はこのアプリに統合され、今回の「Nothing Ear (stick)」も管理可能です。Nothing製のスマホは、アプリの機能がOSに融合済み(要アップデート)。
2度押し、長押しなどの操作カスタム、イコライジング、ファームウェアなどの設定など、一通りの操作が可能。設定内にある低レンテンシーモードをONにすると、気づくレベルで遅延が改善されました。スマホゲームでイヤホンを使うならここにチェックをば。
「Nothing X」アプリは「Nothing Ear (1)」も対応予定。また、「Nothing Phone (1)」ユーザーであればさらにシームレスな接続や設定が可能です(iPhoneにAirPodsを接続するような)。Nothingファミリーでアプリが充実してくれば、エコシステムのメリットもどんどん活かされていきそうですね。
「Nothing Ear (1)」との違いをチェック
最後は昨年発売された「Nothing Ear (1)」との違いを見ていきましょう。左が「Nothing Ear (stick)」で、右が「Nothing Ear (1)」。オープンエアとカナルの違いのほか、マイクの位置や基板の形状、ハウジングの質感も異なります。「Nothing Ear (stick)」はハウジングがサラサラとしていて、これが装着時の快適さにつながっていますね。
音質の比較ですが、イヤホンのタイプが異なるのでサウンドの性格もかなり異なります。Nothingはそれも意識してるようで、この2種類のイヤホンは併売される予定。ノイキャンで聞きたいカナル派と、ラクに聞きたいオープンエア派のどちらも取り込めるわけですね。両方持っててもいいと思う!
「デザイン似てるからそれぞれのケースにも入るのでは?」と思って試してみたら、さすがに無理でした…。ハウジング部分の形状が異なるだけでなく、基板が変わったことでマグネットも配置も変わってる=うまく吸着せずケースに入らないみたいです。
こうなると、どうして似たデザインのイヤホンを作ったのかが気になるところ。Nothingの方に聞いてみると「デザインを変えるためのデザインはしたくなかった。Ear (1)の頃からオープンエア型は検討していて、この形状になった。それに、同じブランドだと認識されやすい方がいいよね」とのこと。言われてみればAirPodsとAirPods Proも同じデザインだし、珍しいことじゃないのかも。
違いといえば「Nothing Ear (stick)」の特徴でもある、スティック型。これ、見た目こそ奇抜だけど片手でくるっと回転させてフタを開けられるのが便利で、イヤホン装着までの流れがかなりスムーズです。パチっと音がしないのも静かな場所でイヤホンを取り出す際に助かるし、万が一ケースを落としたときもフタが開く心配がない。ケースと透明の筒の間にホコリが入ると掃除しにくいのがデメリットかな。見た目がきれいだからそうした部分も気になっちゃう。
ビジュアル重視で入っても満足度高し
Nothingのプロダクトはデザインがとにかく魅力的。「Nothing Ear (1)」もデザインが印象的でしたが、「Nothing Ear (stick)」はさらにビジュアルにステータスを振ったプロダクトだと感じました。加えてコンパクトで持ち歩きしやすく、フィット感も軽やか。このあたりの要素はファッション的な魅力を後押ししてくれそう。
ファッション要素も音質的な満足度も諦めないワイヤレスイヤホンは、まさに昨今のトレンド。「Nothing Ear (stick)」はそこをしっかり抑えており、所有する満足感が高いプロダクトに仕上がっています。ノイキャンは無いけれど、個人的にはそこまでデメリットに感じていません。オープンエアを選ぶときはあまり音楽に没入する気持ちではないので、外音が聞こえたほうがBGMみがあってむしろ落ち着くまである。
ビジュアル面でも普段使いでも満足感が高い「Nothing Ear (stick)」。ケースが変わっただけのイヤホンではないこと、おわかりいただけたと思います。価格は1万6800円、発売日は2022年11月10日。10月29日は先行販売もするようです:
Nothing Ear (stick)
— Nothing | ナッシング (@NothingJapan) October 26, 2022
11月10日発売。
10月29日には先行販売いたします。
Kith Tokyo&二子玉川 蔦屋家電。
Nothing公式サイトでも。
数量限定です。#EarStick#ナッシングpic.twitter.com/zRGGU6WBj4
Source: Nothing Technology
Image: ヤマダユウス型