世界最大のiPhone製造拠点であるFoxconn鄭州工場(中国)。
ここでゼロコロナ政策のもと外部との接触を断って製造に取り組んでいる工員たちの間にコロナパニックが広がって製造が頭打ちとなり、iPhone 14 Proが600万台近く減産になる見通しです。厳しすぎるゼロコロナ政策への反発が中国全土で吹き荒れていますが、iPhone製造の現場にも及んだかたちです。
不信感や不満が爆発した
鄭州工場では表向き「感染ゼロ」体制で稼働を続けてきたのですが、やはり敷地内で陽性反応が出るケースが多少はあったようです。発表と違う現実に工員たちが「経営陣の言うことは信じられない」と不信感を募らせていき、やがて「無症状の人が紛れ込んで働いている」という噂が立って手が付けられなくなりました。
みな焦って工場から逃げ出したり、パニックになって工場を荒らしたり。経営陣はボーナスを2倍、3倍に弾んで呼び戻しに必死。やっと1万人が説得(と昇給)に応じて戻ってきたまではいいのですが、11月23日には「旧工員と別々にする約束だったのに一緒くたに働かされている」「4か月でボーナスが出る約束だったのにもう1か月働けと急に延期された」といった不満が爆発してまたまた暴徒化しており、沈静化までにはまだまだ時間がかかりそうな雲行きです。
減産台数と配達の遅れ
11月のiPhone生産台数は少なく見積もって30%のマイナスとなり、11月初旬に出された「本年のiPhone Pro生産台数は300万台減産」との見通しは2倍の600万台近くの減産に修正されました(Bloomberg)。12月まで工員不足が長引けば、iPhoneは12%(約1000万台)減産となる可能性も懸念されています(Reutersが報じたKGI Securitiesアナリストの予想 )。
標準のiPhone 14はまだ在庫があるんですが、 iPhone 14 ProかPro Maxを11月下旬に注文した人は配達まで37日かかりそう(Counterpoint Researchの28日付けガイダンス)。うちも家族が11月上旬にオーダーしたiPhone 14 Proが月末になってもまだ届いてません…。関係あるかどうかはわからないけど。
Appleのダメージ
Wedbush Securities株式調査担当ディレクターがCNNに語ったところによれば、「Foxconn鄭州工場の閉鎖・暴動でAppleにおよぶ被害額は1週間でおよそ10億ドル(約1386億円)。iPhone 14売上の約5%が吹っ飛んだ」そうです。