そりゃそうか。ダイソンの空気清浄ヘッドフォン、空気清浄中はバッテリーめっちゃ減る

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  • author Andrew Liszewski - Gizmodo US
  • [原文]
  • 松浦悦子/Word Connection JAPAN
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そりゃそうか。ダイソンの空気清浄ヘッドフォン、空気清浄中はバッテリーめっちゃ減る
Image: Dyson

空気清浄ヘッドホン。

ダイソン(Dyson)社初のオーディオ製品は余計なノイズとともに、空気中の余計な微粒子を除去することを約束しています。

2022年春、ダイソンは同社初のオーディオ製品であるヘッドフォンDyson Zoneを発表しました。そのときの話では、この製品には空気清浄システムと送風シールドが組み込まれ、ノイズだけでなく、空気中の余計な微粒子もブロックされるということでしたが、最近になって、詳細な仕様が明らかになりました。

ここでは、このユニークなヘッドフォンがいつ購入可能になるのか、どこにいても新鮮な空気を吸えるようにするには、どれだけのコストがかかるのかなど詳しくみていきます。

これまでのダイソン

ダイソンは、従来の電気掃除機から使い捨ての集塵バッグを取り除き、掃除機の中がゴミやほこりでいっぱいになっても最大の吸引力を維持するというイノベーションで一躍有名になりました。

その後、長い時間をかけて、提供製品の幅を扇風機空気清浄機ヘアドライヤーなど大きく広げましたが、考えてみるとすべてダイソンの得意とする空気を動かす装置にこだわっています。

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Image: Dyson

Dyson Zoneヘッドフォンもこの部類に入ります。同社がこれまで開発した中でも最小の10,000 RPM 電動モーターをイヤーカップ(耳当て部分)に1つずつ内蔵した型破りのデザインで、顔の正面の前にある空気清浄機は2層のフィルターを通じて空気を吸い込み、花粉やバクテリア、小さなゴミやほこりなどの粒子だけではなく、二酸化窒素、亜硫酸ガス、オゾンのようなガスも除去します。

ただし、以前、ダイソンもいっていたとおり、Zoneヘッドフォンは完全な密閉状態を作り出すわけではなく、新型コロナウイルスへの暴露リスクを最小化するソリューションとはなりえません。

浄化された空気は磁石で取り付けられたシールドを通って、Zone着用者の口と鼻に送られます。また、シールドは空気の流れをさえぎるように設計されています。

つまり、車の渋滞する都市部を通って通勤する場合など、固定式の空気清浄機が役に立たない状況で使える携帯用空気清浄システムなのです。フィルターの交換は約1年に1度、交換時期が近づくと、付属のアプリからリマインダーが送られる…とDysonは言っています。

空気清浄中は稼働音が鳴る

高級ヘッドフォンメーカーが重点的に取り組んでいるものといえば、以前は音質で、現在はほぼアクティブノイズキャンセレーション(ANC)であるように思われますが、Dyson Zoneはそこも他社とはちょっと異なります。その原因はユーザーの耳のすぐ隣にある電気モーターとファンです。

AppleのAirPods MaxSonyのWH-1000XM5はどちらも8個のマイクで環境ノイズをキャプチャし、除去しています。Dyson Zoneも、8個のマイクでノイズを38デシベルまで低減しているところまでは同じですが、Zoneにはさらに、空気清浄システムからのノイズに対処するためのマイク2個と、通話でユーザーの音声を拾うためのマイクが1個追加されています。

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Image: Dyson

このヘッドホンの懸念点

Dyson Zoneの40mmネオジウムドライバーは、6Hzから21kHzまでの周波数帯域を確実に再現します。また、2,600 mAhバッテリーは約3時間で完全充電可能で、ANCを使用している場合でも、最高50時間、オーディオを連続再生できます。とはいえ、空気清浄システムを使った場合は話が別です。Dyson Zoneのバッテリー持続時間が大きな影響を受けます。

清浄機能の設定が最弱の場合でも、バッテリー持続時間は4時間です。中程度の設定では2.5時間までに落ち込み、最強にすると、わずか1.5時間になります。総務省統計局の調査(2016年)によると、日本人の平均通勤時間は往復1時間19分ですから余裕はあるかもしれません。

しかし、飛行機移動のときに、最初から最後まできれいな空気を提供してもらおうと思ったら、国際便はもとより、国内便でも十分とは言いきれませんし、少なくとも追加の電源が必要になります。

それから、重量。Dyson Zoneは軽くありません。たとえば、これまで私たちがテストしてきた中でもっとも快適な高級ANCワイヤレスヘッドフォンに数えられるSony WH-1000XM5はわずか249グラムです。

また、Apple AirPods Maxは私たちの大のお気に入りですが、イヤーカップにアルミニウムのような最高級の素材を使っているため、重さは384.8グラムとなり、長く聞き続けているとまちがいなく重さが意識されるようになります。Zoneの場合、シールドをつけた状態ではWH-1000XM5とAirPods Maxを合わせたよりも重く、670グラムにもなります。シールドを外しても、595グラムとかなりの重量感があります。(実際に着用してレビューした記事はこちら

お値段どれくらい?

しかし、ほかの高級ヘッドフォンを差し置いて、Dyson Zoneを選ぶかと聞かれたときに消費者が二の足を踏むポイントは、1回の充電で最大の空気清浄能力を発揮できるのがたった1.5時間であるとか、重さで首が鍛えられるとかいうことではありません。値段です。

949ドル(約12万6000円)のDyson Zone に比べたら、84,800円のApple AirPods Maxも、49,500円のSony WH-1000XM5も大安売りのようなものでしょう。まあ、Dysonの高額な価格設定は有名ですから、初のヘッドフォンの値札に1,000ドル近い金額が書かれていても特に驚きません。

でも、Dyson Zone 1台で、AppleとSonyの最高級ANCヘッドフォンを1台ずつ買えますし(米販売価格の場合)、Zoneの性能が、ふつうのノイズキャンセリングヘッドフォンとしても、コストに十分見合うほど競合製品と比べて優れているかどうかは今のところわかっていませんから…今後の進展を見守りましょう。

Dyson Zoneは来年3月からDyson直営店経由で予約注文のみが可能で、そのあとすぐにDysonのWebサイトでも広く入手可能になるとのことです(ただし、日本での展開は現時点では未定。ここに登録しておくと、日本向けの最新情報を受け取れるそうです)。