何百ものネコの動画を見まくる研究。
獣医さんたちが、ネコ好きなら参加したい！と思うような面白いリサーチをはじめました。ネコ同士が遊ぶ何百もの動画を見るというもの。もちろんそれには理由があります。ネコ同士がつるんでいるとき、遊んでいるだけか、それとも実はケンカをしているのかを解明するための研究です。
スロバキアの獣医学・薬学大学で獣医学者と研究者チームによって行なわれた今回のリサーチ。ネコ好きで何匹かネコを飼っている研究者のGajdoš-Kmecováさんは、複数ネコを飼っている飼い主がよく考えることである｢ネコたちは遊んでるの？それともケンカしてるの？｣という疑問にずっと興味がありました。
イギリスでネコの行動研究をしている人なども集まった研究チームは、とりあえずネコの動画の研究から開始。ネコの飼い主から集めた動画やYouTubeから集めた動画を全部で165本鑑賞。一旦関係ない箇所などを取り除いて105本まで絞り込みました。全部で210匹のネコ！ Gajdoš-Kmecováさんはこう語っています。
リアルな環境でのリアルな動きをしているネコたちを観察するにはもってこいの方法でした。しかもネコの動画を集める作業はとっても簡単でした。ネコを飼っている人は自分のネコの動画を撮るのが大好きですから。
あまり心配しなくていいかも
ネコの動画を見まくった結果、研究チームはネコの行動は3パターンに分けられることに辿り着きました。｢遊び｣｢ケンカ｣｢その中間｣です（え！意外じゃない笑）。
ネコを飼っている人ならわかると思いますが、遊びとケンカのちょうど中間というのは黒白はっきり見分けがつきにくいところです。最初は楽しく遊んでいたのに、片方が遊びの気持ちをストップさせた時点で、それは遊びではない中間へと変わっていくからです。
今回の研究の結果は学術雑誌Scientific Reportsに掲載されています。さて、その3つのパターンをどう見分けるか、です。ネコ同士が特にうるさくしている場合はケンカ。長い時間音を立てず、怪我もなく取っ組み合いをしている場合は遊び。取っ組み合いをしながら声も出している場合、それは中間。中間のときはお互いお腹を出してひっくり返っていたり、追いかけてはジャブを打ち合っていたり。そしてお互い楽しんでいるときは、ずっと追いかけあいっこをしているどきです。
Gajdoš-Kmecováさんによると、ネコはお互いに対する態度や感情は引きずるものではなく、人間のようにちょっとしたケンカをするものなんだそう。ネコ同士がお互いに体を擦り付けたり、近くで寝ていたり、同じエサを食べたりなどしている場合は、ちょっとしたケンカは一時的なものなので心配する必要はないとのことです。
また、この研究はネコのコミュニケーションの研究の最初の一歩だと話しています。これからもまだまだネコの動画を見まくる研究が計画されているそう。｢ネコの社会的行動についてはまだまだ未知なことばかり。それを解明したいと思っている研究者はたくさんいるので、一緒に研究していくことを楽しみにしています｣と締めくくっています。
