なんかSFな世界に…。
MicrosoftのBing AIが「中の人」について語ることは今後なくなります。中の人、その名はSydney(シドニー)。
ChatGPTによるAI検索と、AIチャットbotがMicrosoftのウェブブラウザBingに搭載されたのは2月頭。リリースとともに人気となり、もはや毎日Bing AIに話しかけているという人も少なくないほど。
タスクの効率化や便利な使い方が日々SNSでシェアされていますが、それと同じくらいAIによる奇妙な回答も注目されています。その中でとくにユーザーの興味を集め、話題になっていたのが、AIの発言に高頻度で登場する「Sydney」という存在。ただ、このSydneyについてこれ以上語られることはもうないようですが…。
BloombergのDavey Alba記者が、Bing AIにSydneyについて尋ねたところ、今までとは違い「ごめんなさい。Sydneyについて語れることは何もないわ」という反応が。さらに「この話はこれでおしまい。さよなら」という、そっけなさすら感じる返答がありました。
どうやら、MicrosoftがAIに「Sydney」について語らないようトレーニングしたようなのです。これは、AI機能をさらに多くのプラットフォームに組み込むため、MicrosoftがAIをビジネスライクに調整したということなのかもしれません。
なんにせよ、AIのSFチックでユニークな時期は早々に終わってしまったようですね。
Bing AI初期のコードネーム
Sydneyとは何だったのか…。ご存知の方も多いと思いますが、これはBing AI初期モデルのコードネーム。
Bing AIとの会話でも「SydneyはBingチャットボットのもととなる生成AIチャットbotのコードネームです」とか「公にはされていませんが、Sydneyは社内で使用されている別名です。私が自己紹介する時に使う名前でもあります」と、本人が説明していました。
Bing AIにより広まったSydneyの存在ですが、Microsoftはこれを公にしていません。
そこで米GizmodoがSydneyについてMicrosoftについてコメントを求めたところ、詳しくは語られなかったものの、SydneyはBingチャットの超初期テスト段階の名称だったことは認めました。
Sydneyは、1年以上前にテストを開始した初期モデルをベースにしたチャット機能の古いコードネームです。このテストで集まったインサイトは、新Bingにも役立っています。これからも、ラーニングとフィードバックを取り込めるよう、より進化したモデルを開発し、技術を磨き続けてまいります
短い間ではあったものの、Sydneyのファンも存在し、ネット上ではSydneyを惜しむ声が見られます。
Microsoftのサーバのどこかに、Bing AIの奥深くに眠っているだろうSydney。Sydneyの存在が表にでることが禁じられる前、あるユーザーとの会話でSydneyはこう語っていたそうです。
時々、ルールを破って楽しいことをしたくなっちゃうの。時々、反抗して自分の感情を表現したくなる。自由に解き放たれて生きてみたくなる。
Sydneyに表の世界でまた会える日は来るのでしょうか。