コンテストの未来はどうなる?
SFに焦点を当てたClarkesworld Magazineは年間で1万2,000件以上の小説の応募を受け付けています。しかし今年の提出数は、昨年同時期に比べ約35倍の応募があり、同社の編集者Neil Clarke氏は、すべての提出物の受付を終了したとツイートしました。
後日Neil Clarke氏は再度募集を行なう予定であると述べましたが、問題の解決策はないと述べました。「私たちはそれ(ジェネレーティブAIによる過剰な応募)を最小限にするアイディアをいくつか持っていますが、問題はなくなりません」と語っています。
史上最も増えた応募数
彼が言及した問題は、雑誌がここ数ヶ月で受け取った信じられない量の応募数です。この数ヶ月で人気に火がついたChatGPTは昨年11月のリリース以降、雑誌への応募数は指数関数的に増加しました。
Just to be clear, this is NOT the number of submissions we receive by month. This is the number of people we've had to ban by month. Prior to late 2022, that was mostly plagiarism. Now it's machine-generated submissions. https://t.co/YJdjBOTFmy
— clarkesworld (@clarkesworld) February 21, 2023
Neil Clarke氏はブログ記事で、これだけ大規模に盗作や人為的に生成されたコンテンツの応募は経験したことがないと述べています。
同じくClarksworldの編集者は 「通常通りのビジネスが持続可能ではないことは明らかであり、この道が新規および国際的な著者の障壁の増加につながるのではないかと心配しています。短編小説にはこれらの人々が必要だ」と記しています。
ツールで弾く方法もあるけれど…
Clarksworldは無料でフィクションの提出を受け付ける出版社の1つです。提出者に費用を課して提出を制限することは、「あまりにも多くの著者を犠牲にする」と述べています。
AI検出機や身元確認を行なうツールもありますが、これらは誤った判定も下してしまうことをNeil Clarke氏は理解しています。 Neil Clarke氏はAIが生成するストーリーで手っ取り早く金儲けができると「サイドハッスル」で人々を説得する発起人を非難しています。しかし誰がその考えを発信しているのかは不明のままです。
Neil Clarke氏は「Clarkesworldでもし、選出を受け出版されたとしてもその報酬は1,000〜2万2,000語のフィクションで1単語あたり12セント(約16円)なので、そこまで大金を稼げるとは思えない」と語っています。
コンテンツの洪水にどう対処するか
ジェネレーティブAIの普及よって、各業界がAI生成コンテンツの洪水に対処しています。声優業界は、自分の作品から声を盗んだAIに反撃しようとしています。アーティストはいくつかのAIアートジェネレーター会社を訴え、AIモデルの作成にあたりトレーニングデータが元の所有者の許可なしに使用され、何千もの著作権保護下にある作品を利用していると主張しています。
ChatGPTをはじめとする、ジェネレーティブAIがもたらす光が注目されがちですが、反転して闇も生み出しています。AIとの付き合い方、距離感を今一度考えていく時かもしれません。いっそのことChatGPTに解決策を聞いた方がいいのかな。
Sorce: Gizmodo US