従来よりも短期間で分解されるサステナブルなガラスを研究開発中

  • author Angely Mercado - Gizmodo US
  • [原文]
  • 宮城圭介
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従来よりも短期間で分解されるサステナブルなガラスを研究開発中
Image: Shutterstock

サステナブルなガラスにアップデート。

脱プラスチックが叫ばれる中、ガラスは何度も洗浄して再利用できることで環境に優しい容器として、その実用性が再び評価されています。しかし、廃棄されたガラスは自然に分解されることはないため、処分場では何千年もそのままの形で残ってしまいます。 その点に着目した科学者たちは、短い期間で安全に分解される生分解性ガラスを開発することで、問題解決に取り組んでいます。

Science Advancesに掲載された研究では、中国科学院のプロセス工学研究所のチームは、アミノ酸またはペプチドから作られた生分解性ガラスと呼んでいるものをどのように設計したかを紹介しています。ポイントは、この材料が従来のガラスよりも環境負荷が少ないということです。

現在製造されているガラスの多くは、石灰、砂、炭酸ナトリウムから作られています。そのガラスは再利用または溶融して新しい製品にリサイクルすることができますが、生分解性ではありません。今回雑誌に掲載された研究では、さまざまなテストを通じて、生分解性ガラスが晒されている環境に応じて、数週間または数カ月で分解される可能性を発見しました。

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Image: XING Ruirui (Fair Use)

生分解性ガラスの特徴 研究者たちは、複数の環境で生分解性ガラスから作られたガラスビーズを使ってテストを行ないました。ガラスビーズを酵素に浸した結果、アミノ酸由来のガラスから作られたビーズは、約2日後に溶液中で分解され、ペプチドで作られたガラスビーズは約5カ月で分解されました。

ペプチドで作られたガラスビーズはマウスの皮下に置き、ガラスビーズの分解と皮膚の治癒過程を30日間観察しました。ガラスは皮下で溶解し、切開した部分は治癒し、毛皮も元通りに成長しました。研究チームは論文で

実験期間中、ガラス移植によって痛みと関連する行動を示したマウスはなく、誰も明らかな体重減少はなかった

と述べています。

土の中では3週間で分解

研究者らはまた、ガラスビーズを土の中に入れて、分解するのにどれくらいの時間がかかるかを観察しました。研究によると、アミノ酸由来のビーズは3週間で分解され、ペプチドベースのビーズは約7カ月半後に分解されました。

ペプチドとアミノ酸は熱ですぐに分解されるため、この生分解性ガラスは従来のガラスほど耐久性がありません。これに対処するために、研究者らはガラス製造で使用される加熱焼入れ手順(ガラスが加熱、冷却される工程)を応用してアミノ酸とペプチドを化学的に改変しました。

生分解性ガラス普及への一歩

あくまでこの研究は生分解性ガラスを作成するための一歩に過ぎません。今すぐこの材料が市場に出回ることはありませんが、環境にやさしい素材を普及させる足掛かりになりそうです。

この研究に関わったYan Xuehai教授は、プレスリリースで

「生分解性ガラスは現在実験室段階にあり、大規模な商業化からはほど遠い」

と述べています。 生分解するガラスを待つ間、一部のグループでは、埋め立て地に廃棄されるガラスを再利用する方法を探しています。ルイジアナ州では、Glass Half Fullと呼ばれるグループがガラス瓶を収集し、浸食された海岸線を復元。災害に備えた土嚢を作成するために使用できる砂にリサイクルする活動も行なわれています。

ガラス瓶から生まれた砂がルイジアナの海岸を救う一手となる

ガラス瓶をリサイクルし、米ルイジアナ州の海岸を回復させるために活用しているGlass Half Fullが、2023 Gizmodo Science Fairで...

https://www.gizmodo.jp/2023/03/glass-half-full.html