ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた天王星と木星の変化

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ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた天王星と木星の変化
ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた2014年と2022年の天王星
Image: NASA/ESA

何かと話題に上がるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡ですが、30年以上も前から運用されているハッブル宇宙望遠鏡も負けてはいません。同望遠鏡が撮影した木星と天王星の最新画像から、各惑星の変化が明らかになりました。

木星と天王星は、それぞれ太陽系の5番目と7番目の惑星です。茶色やクリーム色の縞模様の巨大ガス惑星である木星は、太陽系で最も大きく直径は地球の11倍。その一方、天王星はアクアマリン色で、幅は地球の4倍になります。

天王星の嵐もしっかり撮影

トップの画像は2014年11月と2022年11月に撮影された天王星で、興味深い大気の動きが見て取れます。2014年の画像では北半球にメタンの氷でできた雲が出現していて、天王星をぐるりと囲む環もうっすらと見えます。

2022年の画像では、大きく傾いた自転軸によって天王星の北極が太陽を向いています。北極は極冠に覆われており、周辺にはいくつかの嵐も。極冠は2028年には地球に面するので、ハッブル宇宙望遠鏡にとってはその構造を撮影する絶好の機会となりそうです。

木星大気の乱流はよく知られていて、大赤斑は少なくとも数世紀にわたって存続している巨大な嵐ですが、渦巻くサイクロンもこの惑星の特徴です。ハッブルの観測によると、特に低緯度で嵐が渦巻いていた模様。

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ハッブルが捉えた、2022年11月と2023年1月の木星
Image: NASA/ESA

まだまだ観測は続く

ハッブルは2022年11月と2023年1月に木星を撮影していますが、渦はどちらの画像にもはっきりと写っています。昨年の画像からは嵐で形成された波打つような模様、通称「渦列」が見て取れます。低気圧と高気圧の渦が隣接し合っているものの、それぞれ反対方向に回転していることから、合体はされないそう。真ん中には木星の衛星イオが、左側にはその影が写っています。

直近の画像に写っているのは大赤斑、少し右下にあるのが衛星のガニメデです。ガニメデは、打ち上げが近づいているESAのJupiter Icy Moons Explorer (木星氷衛星探査計画、JUICE)ミッションで探査されることになっています。

ハッブル宇宙望遠鏡は1990年に打ち上げられて以降、合体銀河白色矮星の質量を捉えるだけでなく、昨年9月には小惑星に体当たりしたDART探査機のようなNASAの他ミッションも観察しています。

ハッブル宇宙望遠鏡が捉えたDARTミッションのタイムラプス動画

宇宙探査機「DART」が小惑星ディモルフォスに体当たりする映像。

https://www.gizmodo.jp/2023/03/video-of-dart-hitting-dimorphos.html

長年の運用の中ではつまずくこともありました。古くなったソフトウェアが不具合を起こしたため、近年は何回かの再起動を要し、船外活動による修理も5度実施済み。それでも今は後継機ウェッブと共に観測を続けているのです。

Source: ESA, NASA Solar System(1, 2), Hubble Space Telescope,