ついに一般人も気球で宇宙遊覧ができる時代に

  • author Passant Rabie - Gizmodo US
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  • 門脇恵実/Word Connection JAPAN
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ついに一般人も気球で宇宙遊覧ができる時代に
Image: OPEN UNIVERSE PROJECT

今回、ヘリウムを利用した気球でお手頃な宇宙旅行を実現させようとしているのは、なんと日本のスタートアップ企業。しかしこの旅客キャビン、つっこみどころもあるんです。

誰もがお手軽に宇宙遊覧へ

2月21日、 宇宙開発ベンチャーの岩谷技研は東京で行なわれた記者発表会で宇宙旅行用の「小型球形気密キャビン」を発表。ヘリウムを利用した気球で、2人乗りキャビンを吊り上げて成層圏まで飛行し、漆黒の宇宙を遊覧するという計画です。

この気球による宇宙遊覧では、2人(パイロットと乗客)が高度約2万5000m(正確にいえば国際基準で「宇宙」と規定される高度10万mより約7万6000m低いのですが)まで上昇。勇気ある乗客は、そこから地球の曲面や宇宙の漆黒を見ることができます。

飛行時間は約2時間。宇宙に1時間ほど滞在した後、地球に戻ります。岩谷技研は旅行料金を当初約2400万円に設定し、最終的には数百万円に抑えることを目標としています。

「ロケットやスペースプレーンではないため、乗客は特別な飛行訓練なしでキャビンに搭乗でき、億万長者でなくても手が届くような値段であることもセールスポイントです」と岩谷CEO。

アイデア自体はナイス。しかし、キャビンのスペース的には2人座るのがやっとで、歩く余裕もなさそう。さらにプラスチックの小型球体でできたキャビンは、さながら遊園地の人間パチンコ「スリングショット」。球体の乗り物にゴムが付いていて高速で空中へ放たれる逆バンジーのようなあれです。

Video: 株式会社岩谷技研/YouTube

他社キャビンはまさに豪華絢爛

気球による宇宙旅行を計画しているのは岩谷技研だけではありません。岩谷技研のプロジェクト同様、他社もまだ始動したばかりですが、キャビンの乗り心地は他社の方がずっとマシに見えるんです。

米アリゾナ州を拠点とするWorld View Enterprises(ワールド・ビュー・エンタープライズ社)は、気球型宇宙船による成層圏旅行を計画しています(料金は1人当たり約665万円)。ワールド・ビュー社によると、キャビンは2人乗りの密室ではなくもっと広々としており、飛行時間は6~12時間と余裕があります。

ハイエンドな気球型宇宙船による宇宙旅行を提供するSpace Perspective(スペース・パースペクティブ社)も、気球を推進力とする成層圏旅行用の豪華なカプセルを開発中です(1人当たり約1660万円という堂々たる料金!)。インテリアのコンセプトデザインが豪奢で、室内スペースもゆったり。乗客はラウンジの快適なシートでうっとりとするような眺めを堪能しながら、カクテルを楽しめちゃいます。

こんな他社の豪華絢爛なキャビンに比べると、岩谷技研のキャビンは値段に対しゆったり感に欠ける気が…。そうとはいえ、目標である数百万円に抑えることができれば、大量集客できると岩谷技研は期待しています。

岩谷技研は今年8月末まで、5名の第一期搭乗者を募集中。ちっちゃなカプセルのなので、閉所恐怖症の筆者には厳しそう…。でも、宇宙から地球を見下ろすのは人生を変える体験になりそうですよね。

Source: 岩谷技研