140年前、ロンドン自然史博物館の鉱物学コレクションに登録されたインド産のメノウの標本。
この球状のメノウはなんと、6000万年前に恐竜の卵の中で生成されたものであることが、研究チームによって明らかにされました。
しかもこの卵、白亜紀に現在のインドに生息していたティタノサウルスのものである可能性が高いそう(今年初め、インドで100近くのティタノサウルスの巣が特定されています)。
恐竜の卵と思われる跡も
ロンドン自然史博物館の鉱物学芸員であるロビン・ハンセン氏が、同博物館の恐竜専門家であるポール・バレット氏とスザンナ・メイドメント氏のところに標本を持ち込んで解析もらったところ、このメノウはまさに恐竜の卵らしい形と大きさであることがわかりました。
さらにこのメノウ標本の外側の質感が、卵の質感に似ていることに注目。幅6インチ(約15cm)のメノウ標本の外表面に、恐竜の卵とおぼしき跡がついていることも示唆されたのです。
同博物館のリリースで、ハンセン氏は以下のように語っています。
この標本は、博物館のコレクションがなぜ重要であるかを示す完璧な例。
1883年当時、できる限りの科学的知識でこの標本は「メノウ」として識別され、所蔵品として登録されました。しかし、この標本が特別なものだとわかったのは、まさに今になってから。140年の時を経て、この球状の物体はメノウであり、恐竜の卵であることが判明したんです。
ティタノサウルスは史上最大の陸上動物ですが、巨大な卵を産むわけではありません。
これは、1回の産卵で小さい卵を数十個産むからだと考えられています。一般的に、大型の哺乳類も小さい子どもをたくさん産みますし、大型の爬虫類も小さい卵をたくさん産むので、何も特別なことではないようです。
火山活動の影響でメノウ化か
博物館のリリースによると、この卵は地域の火山活動でメノウ化した可能性があるよう。
どうやら卵が産まれた直後、火山噴出物を被って、残った卵の殻にシリカ(ケイ酸塩)をたっぷり含んだ水が浸み込み、メノウが形成されたらしいのです。
アンモナイトが化石化する過程で、地中内の鉱物や圧力による影響を受け、虹色にキラキラ輝く化石宝石「アンモライト(ammolite)」になる、というものがありますが、このメノウはいわばアンモライトのデラックス版のようなものですね。
そういえば、映画『ジュラシック・パーク』では琥珀(メノウとは別物、大昔の松や杉などの天然樹脂が化石化したもの)に混入していた蚊の体内にあった恐竜の血液からストーリーが展開されました。化石から太古の時代に思いを馳せるのも、ロマンがあります。