Google Brainがなくなり、DeepMindに統合。
Google(グーグル)には今までAI開発チームが大きくふたつあり、ひとつはDeepMind、ひとつはGoogle Brainでした。先週彼らは、これらチームを統合して「Google DeepMind」と称することを発表しました。
Google DeepMindに一本化
旧DeepMindとGoogle Brainは、元々の成り立ち方や専門分野も違っていたし、物理的にも離れてました。
DeepMindは元々ロンドンを拠点とするリサーチラボだったのを、2014年にGoogle(現Alphabet)が買収したんです。彼らはニューラルネットワークや機械学習を使ったシステムを作ってて、2016年にはAlphaGoで世界トップ囲碁棋士を破る快挙を成し遂げました。
Google BrainはGoogleのAIリサーチ部門に属していて、本拠地はシリコンバレーです。彼らはChatGPTなどのチャットボットのコアにある大規模言語モデル、の元となったTransformerモデルを開発したチームでもあります。
他にもいろんな成果があり、直近では、テキストからの画像生成AI、Imagenを発表してます。
新生Google DeepMindのトップに就くのは、旧DeepMindのデミス・ハサビスCEOです。ハサビス氏はこの統合についての社員向け文書をWeb上にも公開し、今回の決定によってさらなるインフラやリソースを活用できるようになるとメリットを説明しました。発表の翌日には社員向けタウンホールミーティングも開催しています。
一方Google Brainの責任者でGoogleエンジニア歴24年になるジェフ・ディーン氏は、Google/Alphabetのスンダル・ピチャイCEO直下のチーフ・サイエンティストとしてGoogle Researchを率いることとなりました。
つまりディーン氏は、AIを含めたGoogleの研究開発を率いていくことになります。ピチャイ氏もハサビス氏も、文書の中で「汎用AIの責任ある開発」を強調しているのが印象的です。
Googleの焦りに不安の声
ただAIの公開ペースを早めるGoogleには不安の声も高まっていて、BloombergにはGoogleスタッフ(退職者含む)からの声を何十人分も集めた記事が出ています。
Googleは社員に対し、仕事時間外にGoogleのチャットボット・Bardを評価するよう依頼してるんですが、社員からの評価は「使えない以下」「病的な嘘つき」と散々です。
それでもGoogleはオフィス系アプリや広告部門など、サービスのあらゆる面に生成AIを貼り付ける方針を打ち出してます。
Bloombergの記事によると、AI倫理責任者のジェン・ジェナイ氏も含め、Google幹部はBard公開を見送るべきとするスタッフの声を無視しました。
それでも、今年1月にグローバルスタッフの6%にあたる1万2000人をレイオフしたGoogleですが、残ったスタッフにはAIでさらなる成長があると期待させようとしています。
Microsoft(マイクロソフト)はGoogleに先んじて、ブラウザアプリにAIチャットボットを直接統合しました。GoogleのピチャイCEOは、彼らの主食とも言えるGoogle検索にBardを統合する計画を発表していますが、具体的な時期は明らかになっていません。
「Google Brain」ブランドに見切り?
「責任あるAIの開発」と強調してるわりに、GoogleはAIの倫理問題に積極的であるイメージを維持できずにいます。
2020年と2021年、GoogleはAIの使い方に歯止めをかける役割だったチームのメンバーを複数人解雇しました。解雇された研究者のひとり、マーガレット・ミッチェル氏は、AI部門の統合にはメリットもあると指摘しています。
いわく、彼らの解雇以来「Google Brain」ブランドにはいろんな傷が付いてしまい、研究スタッフの採用や引き止めが難しくなっていたのです。
AI開発レースがますます熾烈化する中、Googleはかつてのリーダーらしさを失い、テスト前の一夜漬けで寝坊した学生みたいにあわてています。体制を整理することで巻き返しを図れるんでしょうか?