Bingチャットbotの初期キャラ「シドニー」復活も可能。メタプロンプトとは

  • author Thomas Germain - Gizmodo US
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Bingチャットbotの初期キャラ「シドニー」復活も可能。メタプロンプトとは
Image: rarrarorro / Shutterstock.com

早くも、知る人ぞ知るキャラになってる、シドニー。

今年初め、Microsoft(マイクロソフト)がAIチャットbotをリリースしました。自社の検索エンジンBingと合わせてBing AIは当初自分のことを「Sydney(シドニー)」と名乗りました。

シドニーとはMicrosoftのAI開発における初期のコードネーム。シドニーの存在はBing AIの中の人として注目を集め、その回答もおもしろがられました。

が、Microsoftは中の人キャラが表にでることを嫌がり、AIが自身のことを語ることを禁じ、シドニーはほんの短期間の表舞台を経てアルゴリズムのどこか奥深くに眠ってしまったのでした。

ユーザーが好きに名前をつければいい

が、ここにきて、MicrosoftのCTOケビン・スコット氏が、The Vergeのインタビューでシドニーについて語り、復活の可能性にも触れています。

変更を加えるとすぐに、Redditのサブチャンネルに『シドニーを救え!』というスレができたのは、おもしろいと思ったことのひとつですね。

システムのトーンを下げたことについて、ユーザーから反感をかってしまったのです。『面白かったのに!』『好きだったのに!』とね。

パーソナライズという視点から、そう遠くない将来で実現できたらと考えていることのひとつは、プロダクトへの指示としてメタプロンプトを少しユーザーに解放したらどうかということです。

もしシドニーが好きなら、シドニーだと伝えて名前を与えればいいのです。

メタプロンプトとは?

AIチャットbotはおもしろい仕組みになっていて、ひとつの固定の品というわけではありません。

チャットbotのようなサービスを動かすアルゴリズムは膨大なデータからできており、そのデータにエンジニアが指示を出したり、特定パラメータの優先度を上げたりしてコントロールして、その人(企業)にとって好みのAIに仕上げているのです。

スコット氏のいう「メタプロンプト」は、AIへの基本のディレクションであり、どう振る舞うべきかという指示のこと。つまりキャラ設定です。

たとえば、ラインを探りつつある今のMicrosoft Bing AIだと、保守的で清潔安全というのがベースになっています。

ただ、あくまでも今の話であって、Microsoftは将来的にはユーザーのニーズや好みに合わせてAI(のキャラ)を好きにチューニングできたらいいと考えているということ。

スコット氏いわく

このシステムにおいて絶対に超えてはならないラインがあることは予想していたので、製品導入前にそこはテストしたか何度も確認しました。その結果、怒る人もいればまったく気にしない人もいることがわかり、どっちに合わせるのがいいのだろう、どう決めたらいいのだろう…とね。

ちなみに、シドニーファンは社内にもけっこういるそうです。

AI台頭の年と言ってもいい2023年も、もうすぐ半分がすぎます。AIに対する現実と誇張は、ますますわからなくなってきました。

専門家のなかにも、AIが人類の終焉をもたらすという人もいれば、心配ないという人もいて、意見は完全に二極化。現時点ではどちらの意見が正しいか以前に、どちらが現実的なのかもわかりません。

作っている人すら、その限界もどこまで進化できるのかもわかっていないのですからね。

AIで変わる人とコンピューターのコミュニケーション

まだまだわからないことだらけのAIですが、(ChatGPTやBardやBing AIのような)会話型AIについてはひとつ明らかなことがあります。それは、人とコンピューターのコミュニケーションの方法が変わるということ。

今までは、エンジニアと呼ばれる人たちが専用の言葉でコンピューターと会話をしてきました。それが、専門言語を介さず、人が人と話すのと同じようにコンピューターと会話できるようになるのです。

現状、まだ多少のミスコミュニケーションもありますが、それは時とともに解決されていくはず。

そうこうするうちにパラダイムシフトが起き、マウスやキーボードからも解き放たれて、音声認識、つまり人が本当にコンピューターと会話するようになるのでしょう。

端末やアプリと会話するとなれば、そのときはキャラ設定が大きな意味を持つようになるはずです。スマホの壁紙を変えるように、着信音を変えるように、AIキャラを設定する時代がくるはずです。

MicrosoftはすでにBing AIのトーンを選択できるので、キャラ設定の1歩目は踏み出しているということになります。そして、AIにキャラ設定をする未来の先にあるのは、OS自体を好みのキャラでカスタマイズする世界。

スコット氏の発言を聞いて、今から自分のAIの名前を考えておいたほうがいいかもなと思った今日この頃。

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https://www.gizmodo.jp/2023/03/how-to-use-bing-ai-vs-chatgpt.html