終わるときは一瞬…。
ニューヨーク州のレンセラー工科大学が、清掃会社を相手取り裁判を起こしています。いわく、20年以上にも及ぶ研究が清掃スタッフのミスで吹き飛んだと。
冷凍庫の中身は…
訴えられているのはDaigle Cleaning Systems Inc.という清掃会社。2020年、ここの清掃スタッフだったJoseph Herringtonさんが、アラームの音がうるさくてイラっとしたという理由で大学の研究室にあった冷凍庫の電源を切ってしまったのです。
冷凍庫はマイナス80度に設定されており、わずか3度ほど庫内温度がブレるだけで、庫内に保存されているモノは壊滅的なダメージをうけてしまうそう。
冷凍庫の中には何があったのでしょう…。中にあったのは、革新的な可能性を秘めたとても貴重な培養細胞であり、25年もの月日が費やされた大切な研究サンプル。
それが、冷凍庫の電源が落ちたことで修復不可能なダメージを受けてしまったのです。
なぜアラーム音が?
この冷凍庫、温度管理が非常に重要なため、設定温度から外れるとアラーム音で知らせるという仕様になっていました。
20年以上もの研究が水泡に帰する前のこと、研究室のK.V. Lakshmi教授とそのチームはアラーム音から異常を察知。冷凍庫が故障して、マイナス78度まで庫内温度が上昇していたのです。メーカーに緊急修理を依頼するも、時はコロナパンデミック真っ只中、最短1週間後になるという返答でした。
修理までなんとか大丈夫だろうと判断した研究チームは、念のため冷凍庫のコンセントとソケットに安全ロックを設置。
冷凍庫には注意書き(修理依頼中でアラーム音あり。動かしたり電源抜いたりしないで。この周辺は掃除も不要。アラーム音がうるさいときは、アラーム/テストミュートボタンを5秒から10秒押してください)も貼っていたのですが…。
清掃スタッフは、ブレーカーをいじったことは認めるものの、重要なブレーカーをONにしたつもりが間違ってOFFの状態になっていたと当時の状況を説明しています。
大学側の損害は100万ドル規模
大学側は100万ドル規模の損害を受けたとして、損害賠償を求め清掃会社を訴えています。
一方で、清掃員のHerringtonさん個人を訴えてはいません。あくまでも、スタッフである個人を適切にトレーニングしなかった会社の落ち度だとしています。
一番怖いのは、日常のウッカリやイライラなんですね。