電気自動車の「テスラ(Tesla)」。オーナーのみなさん、航続距離どおり走れてますか?
走れているならこの先は読まなくてOKですが、アメリカでは広告や車載システムに表示される航続距離どおりに走れない人が多くてサービスセンターに苦情が押し寄せているんだそうですよ?
で、テスラの社内に修理の予約をあきらめさせる極秘のチームがあることがロイターの調べで明らかになり、ちょっとした波紋が広がっています。
広告と違うだけでどこも壊れてない状況に速やかに対応
テスラは走行距離の誇大広告が祟って「半分も走れない。壊れてる」という車の持ち込みが多め。
そもそも誇大広告が原因なので、どこも壊れていない=直すところがない。
そこでできたのが、世にも珍しい航続距離苦情対策班。その名も「Diversion(ダイバージョン)」というわけです。
映画『ダイバージョン』みたいでカッコいいけど、その任務は「修理の予約を解約させる」こと。これに尽きます。
どうやって修理をあきらめさせるの?
ロイターが情報筋に聞いた話では、次のようなテクニックを使っているようです。
・電話を延々保留にしてカスタマーがあきらめるのを待つ
・修理の予約をしているカスタマーに連絡して、あらかじめリモートで自己診断するよう促す(ネットの一連の質問に答えると「どこも故障してません」と表示されて修理をあきらめさせる仕様)
管理職は「1件ブロックするごとに会社は1,000ドル儲かるぞ~」と檄を飛ばし、社員は1日にチャラにした修理予約数が記録され、それが営業成績になります。
ネバダ支社は週に数百件の規模で解約していて、1件ブロックするごとに木琴を鳴らしてみんなでヒューヒュー拍手喝采だったそうですよ?
アルゴリズムで操作
約10年前からテスラは走行距離を予測するソフトウェアのアルゴリズムを改変し、満充電のときには「バラ色」の航続距離を表示する仕様に変更。
リアルな距離が表示されるのはバッテリー残量50%を切ってからになっています。そのような仕様にするよう指示したのはイーロン・マスクCEO(当時)とのこと。
半分減った辺りから急にバッテリーの減りが速くなって路上で電池切れになる事態を防ぐため、バッテリー残量表示が空になってからもさらに24km走れる余裕はもたせていました。今もそのアルゴリズムが使われているかどうかは不明です。
寒いとき短くなるのもカウントされていない
多くのEVでは氷点下でバッテリーの性能が落ち、航続距離が最大40%ほど短くなりますが、その点もテスラの表示には反映されていません。
韓国では「寒冷地で宣伝されている距離の半分も走れない」と今年罰金が科せられたばかり(ひどいときには50.5%も航続距離が縮まっていた)。最近の航続距離テストでも、3つのテスラブランドの車を平均すると、現実の走行距離は表示より26%短いことが判明しています。
テスラでドライブするときには航続距離の表示を鵜呑みにしちゃだめ、ですね。
Source: Reuters