工事現場がパフォーマンスアートの舞台に。
2023年始めから現在に至るまで外観の改修工事が行なわれているフランスの伝統的劇場パリ・オペラ座。
そのオペラ座のファサードを見てみると、入口にはぽっかりと穴が開き、洞窟のように見えます。
こちらはフランス人アーティストのJRによるアート作品。オペラ座の劇場「ガルニエ宮」の工事に伴い、建物を覆うように組まれた足場を利用して、だまし絵のように不思議な世界の入口へと変化させました。
JRといえば、同じくフランスのルーブル美術館のピラミッドをだまし絵のように消し去ったりと、巨大な写真やグラフィックを使ったユニークで大規模なアートを制作することで知られています。
さて、今回はさらに改修工事が進み、完全に覆われたガルニエ宮をパフォーマンスアートの舞台に変化させました。
足場で舞うダンサーたち
劇場が舞台とあって「第2章」と名付けられた今回の作品では、7階建に組み上げられた工事用の足場を舞台にして、150人以上のダンサーによるパフォーマンスが披露されました。
この作品では、洞窟を舞台のモチーフに光と闇をテーマとしています。
洞窟の入口がめくられ開いた穴には、暗く浮かぶ工事用の足場。そこに現われるのは、白い反射素材を着て、黒い布を持ったパフォーマーたち。
一見すると古典的な人文字によるダンスですが、徐々に光に満ちていく様は圧巻です。また、今回のパフォーマンスでは、観客の持つスマートフォンのライトなどもダンサーたちを照らす光として利用されました。
伝統的な劇場を舞台にだまし絵で作られた洞窟、そして実際に使われる工事の足場は洞窟の内部のようにと、めくるめく姿を変えていく様は、JRが仕掛けた茶目っ気のあるトリックとクリエイティビティを感じられるものとなっています。