解明する古代の人たちの謎。
考古学はあっと驚くドラマでいっぱいの学問で、今年も謎がたくさん解き明かされました。古代のゲノムを調査したり、死海付近の洞窟からローマの武器を発掘したり、ヒューロン湖の底に眠る船を発見したり。2023年に飛び出した考古学ニュースのまとめです。
5000年前の騎手
ルーマニア、ブルガリア、ハンガリーの複数の新石器時代の墓地を研究している考古学者と生物人類学者のチームが、5,000年前のヤムナ文化の人たちが馬に乗っていたという証拠を今年初めに発見しています。
ヒューロン湖に眠る船
3月、研究チームはアメリカの五大湖のひとつヒューロン湖の底に直立したまま沈んでいる難破船「Ironton号」の発見を発表。約58mの船は、1894年9月の朝に沈没し帆を立てたままの姿で120年間、底に眠り続けています。
フィンランドにある巨大な古代墓地
11月には、考古学チームが、フィンランドの石器時代の墓地がこれまで考えられていたよりも3倍大きい可能性があることを発表しています。6,500年前のこの遺跡には、200以上の墓が存在する可能性があるそうです。「北極圏の近くに大規模な墓地が存在した可能性は、北方およびその世界先史時代における周辺地域の印象を再考するきっかけとなりそうです」と論文で述べられています。
死海近くの洞窟にあった剣
今年のびっくり発見のひとつは、1,900年前のローマの剣4本とピルム(ローマの投げ槍)1本が発見されたことでした。死海の近くのアクセスが困難な小さな洞窟に隠されていました。発見した考古学者たちは、ユダヤの反乱者がローマの兵士から、または戦場から戦利品として持ち去り、意図的に隠したものと結論づけています。
3000年前のペルーの神官の遺骨
北ペルーで3,000年前のある人間の遺骸を研究していた考古学チームが、8月にその人物がその地域の寺院の神官であった可能性が高いと発表しています。「この発見は非常に重要であり、彼は北アンデスにおける最初の神官の一人で、寺院を統括し始めた人物です」とチームのメンバーは述べています。
2300年前のミイラの少年
科学者チームが2300年前のミイラ化した少年の石棺をCTスキャンし、この少年が亡くなる前の健康状態や、包まれていた布に飾られていた魔除けやお守りの役目をするアミュレットの詳細も明らかになりました。
「このミイラは、49個のアミュレットで豪華に飾られており、包装の折り目とミイラの体腔の中に3列のユニークな配置で美しく並べられていました。アミュレットの目的は、身体を保護し、来世で生気を与えるのがアミュレットの目的です」とチームは述べています。
ポンペイの大噴火の被害者たち
失われた都市ポンペイの6人の遺体をレントゲン調査したところ、西暦79年のポンペイ火山の噴火中に窒息死していたことが明らかになりました。以前の研究では、この大災害での死因として他の要因が示唆されていましたが、2023年8月に発表された研究では、有毒なガスを吸い込んだことが住民たちの最期につながったと仮説が立てられました。
解き明かされるアイスマンの謎
1991年に登山家が偶然見つけた遺体。なんと5,300年前に亡くなり、自然とミイラになっていたことが判明し、有名になりました。「アイスマン」という名前がついているのですが、科学者チームによって精査された結果、アイスマンの出身地、死亡理由、そして最後の食事がアイベックス、シカ、穀物であることも明らかになっています。
ロケット発射場から青銅器時代の墓地
人類の現在・未来・過去を結びつけた発見があったのが7月。シェトランド諸島のロケット発射場の建設が一時中断されました。作業員が青銅器時代のものと見られる火葬墓地を発見したためです。
ポンペイのピザ
6月に、ポンペイの考古学者チームが食べ物が乗ったお皿を描いた美しいフレスコ画を発表しました。その中にピザのような具の乗った平たいパンも描かれていたことから、ピザの祖先ではないかとネットで話題となりました。
5万7000年前のネアンデルタール人の彫刻
ある研究によると、フランスのLa Roche Cotardの洞窟の壁にある彫刻は、ネアンデルタール人が5万7000年前に作ったものだと判明しました。こちらに洞窟の中を飛んでいるように見える動画もありますので、ぜひ。
地中海に沈む古代の難破船
6月、UNESCOと考古学者が集まって作られた地中海探索チームが、地中海のキース・リーフ近くで3つの難破船の発見しました。このうち1隻は紀元前100年〜紀元後200年くらいのもの。残りの2隻は20世紀初頭のものだと判明しています。
史上最古の記録されたのキス
5月に、研究者のチームが紀元前2500年頃のくさび形文字で書かれたメソポタミア文明時代の粘土板を調査したところ、「キス」についての記述があるのを発見。ということは、少なくとも人類は4,500年前からキスをしていたっぽいです。
バイキングの宴会場
2023年1月、デンマークの考古学チームは約1,000年前の家の遺跡を発見しました。これはかつてのバイキングの宴会用の建物であった可能性が高いそうです。
古代の動物を仕留める計画図
5月に研究チームが、中東の古代の狩猟者が動物を仕留める時に使う罠の構造と計画を岩に刻んでいたという証拠を発見しました。
2500年前の動物用の棺
大英博物館の科学チームが、2,500年前の動物用の棺をX線で撮影したところ、その中にはトカゲの遺骸が含まれていることが判明しました。こちらでその画像をご覧いただけます。
青銅器時代の脳外科手術
今年初め、3500年前も前に外科手術がおこなわれていた痕跡が発見されました。青銅器時代の2人の兄弟の遺骨から、脳外科手術を試したと見られる四角く切り取られた部分が頭蓋骨にあったことがわかりました。
ネアンデルタール人は象を仕留めていた
2月に、研究チームがScience Advancesに発表した論文によると、12万5000年前の象の骨に切り傷の痕跡から、ネアンデルタール人が狩猟と解体の両方をおこなっていた可能性があることがわかっています。小さな人間がほぼ武器もなく大きな象を仕留めていたとは...。