世界初。動いてる赤ちゃんホホジロザメの撮影に成功

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  • author Isaac Schultz - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岩田リョウコ
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世界初。動いてる赤ちゃんホホジロザメの撮影に成功
Photo: Carlos Guana

ハロー! 赤ちゃん!

アメリカ・サンタバーバラ沖で撮影された映像。これ、生きている赤ちゃんホホジロザメを初めて捉えたものなんです。この赤ちゃんザメの発見によって、海の世界では最も恐ろしい捕食者の一種と言われるホホジロザメがどこで子供を産むのかがわかってくる可能性があります。

2023年7月にドローンによって撮影された約1.5mの赤ちゃんザメは、薄い白色の膜で覆われているのですが、これこそが新生児の印とのこと。

もしかすると、大人のサメで皮膚病を患っているという可能性もなきにしもあらずと研究者たちは述べていますが、おそらく生まれたてでまだ胚葉で覆われている可能性のほうが高いと考えられてるそうです。

このドローン映像と発見に関する論文は、Environmental Biology of Fishes誌に掲載されています。

出産をとらえるのは聖杯を手に入れるのと同じ

この映像を撮影した研究の著者でもある野生動物映像作家のCarlos Guana氏は、

実際の出産を捉えることは、サメ科学の聖杯のようなものです。私が撮影した赤ちゃんは、その聖杯に近づく手がかりとなりました。

と米Gizmodoの取材に答えています。

パズルの一部であるこの映像は、私たちが探すべき方向を変換させるかもしれません。また、どの地域が保護されるべきかという観点にも大きな影響がありそうです。

とも述べています。

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Photo: Carlos Guana

ホホジロザメは海の中では強い捕食者で、何百もの歯があり、最大約6mにも成長しますが、人間の密猟により脆弱な種でもあります。そんなホホジロザメですが、どのように生まれるかについてはほとんど知られていないのです。

赤ちゃんなのかどうか知るヒントとは?

今回発見された赤ちゃんザメは、成体よりもはるかに小さく、子宮から出たばかりのような小ささだったとのことです。もちろん捕まえたわけではないので、この赤ちゃんザメが新生児であることを示す兆候は見た目で探るのみですが、2つの兆候がありました。

ひとつめは体を覆っている白っぽい膜。研究者たちはこの淡い膜は、子宮内物質でできていると推測しています。研究の共著者であるPhillip Sternes氏によると、妊娠中のメスのホホジロザメは子宮乳と呼ばれる液体を生成し、それをお腹の中にいる赤ちゃん胚が摂取します。また胚は、この液体だけでなく母親の子宮内にいる他の卵も食べてしまうそうです。

そしてふたつめの兆候は、丸みを帯びた未発達の背びれの形状。その背びれは、かつて発見されたすでに死亡している妊娠したサメの内部で見つかった未生のサメの背びれに似ていたことから、映像のサメが新生児である可能性が高まったとのことです。

Sternes氏は

皮膚病説では未発達の背びれの説明がつきません。背びれの形状を変える皮膚障害が存在するとは信じていません。

と語っています。サンタバーバラの海岸近くで発見されたということで、出産自体もこの辺りで行なわれたのかもしれないと研究者たちは期待しています。

よくニュースにあがり耳にすることの多いホホジロザメですが、習性や生存期間についてほとんど知られていないのです。この赤ちゃんがそれを知る鍵となるかもしれませんね。

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https://www.gizmodo.jp/2024/01/shark-regenerates-dorsal-fin-photos-jpn.html