冷たく暗い宇宙空間のなかでミッションを行なう2本のロボットアームが国際宇宙ステーション(ISS)に新たに搭載されることになりました。
日本初のロボット開発企業のGITAIは、NASAの20回目となる民間補給ミッションにて「S2」という名のロボットアームをISSまで打ち上げると発表しました。
S2は、SpaceXのFalcon 9ロケットに載せられ、フロリダ州ケープ・カナベラル宇宙軍基地から打ち上げられる予定です。当初1月29日を予定していたロケットの打ち上げですが、1月30日の12時(日本時間で1月31日深夜2時)からに延期となりました。
S2ロボットアームのミッション
このS2は、長さ1.5mの自律型のデュアルアームシステムで、到着後にISS内でさまざまなミッションを行なう予定だといいます。到着後にISSのエアロックモジュール「ビショップ」の外側に取り付けられ、ステーション内でデモンストレーションを行なうとのこと。
GITAIによれば、S2は衛生の保守や検査、組み立て、延命作業などを行なうよう設計されていて、アームにはツールチェンジャーも搭載されているそうです。
GITAIは地上でのテストに続き、今回のミッションで宇宙でも能力を証明しようと考えています。また、今後は低軌道や静止軌道にある人工衛星や将来的には民間の宇宙ステーションにその技術を提供できるようにしたいとのこと。
GITAIのCEOである中ノ瀬 翔氏は「今回のデモンストレーションの成功はGITAIにとって大きなマイルストーンとなり、宇宙空間で運用可能なシステムとしてこの技術が実現可能であることを確信できるでしょう」と述べています。
ISSの新たなロボットアーム
ISSには、すでに長さ11.2mの欧州ロボットアーム(ERA)と、長さ17.6mのCanadarm2という2つのロボットアームが存在します。
欧州ロボットアームは2021年7月に打ち上げられました。アームはISSに固定され、2つある手の部分を動かすことで外壁を移動できるそうです。このロボットアームは主にペイロードの輸送に使用され、場合によっては宇宙飛行士がISSの別の場所へ移動する際にも使用されます。
一方のCanadarm2はすでに20年以上に渡って稼働しています。ISS上でのさまざま機器の移動に用いられているのとのこと。
そして今回S2もISSに加わり、デモンストレーションを行ないます。
また、GITAIは将来的に月面での居住地建設やソーラーパネルの設置、氷のかき出しの支援などができる月面探査車の設計も進めています。