Apple Vision Proで出先でお仕事、できる?ここが便利、ここがイマイチ

  • author 小暮ひさのり
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Apple Vision Proで出先でお仕事、できる?ここが便利、ここがイマイチ
Photo: かみやまたくみ

PCツールとしての実力は?

Apple(アップル)が「空間コンピュータ」と称するXRヘッドセット「Apple Vision Pro」。

基本は自宅やオフィスなどでの利用が想定されている機器ですけど、目の前に巨大なPC(Mac)の画面を浮かべることができる? そんなのノマドシーンでの作業環境としても最強じゃーん!

という理屈のもと、2泊3日の出張に持っていって仕事してみました。そこから見えてきたメリット。そしてデメリットも包み隠さず紹介していきますね。


Apple Vision Proで便利だったところ

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Image: 小暮ひさのり

1.目の前にバカデカ画面をポンポン浮かべられる!

まずはやっぱこれ、最高です。Apple Vision Proを手にした誰もが言っていますけど、空間にバカデカ画面を展開できるのが本当に便利ですね。

なおかつ、空間に複数のアプリを置いておけるので、MacBookの小さな画面を覗き込むよりも明らかに作業環境としては充実しています。

2.Macの画面が覗き見られることがないので、新幹線でも安心して仕事できた

画面をミラーリングしている最中は、MacBookの画面が消えるので、横の席から覗き見されないところも安心。新幹線の中でも請求書作れますし、社外秘資料もチェックOKですね。

3.視野が制限されることでいつもより集中できた…

またこれは個人的なフィーリングですが、正面(=見ている方向)にフォーカスを制限される状態は、不思議と集中力が増しました。

Apple Vision Proをかぶると視界の端はややケラレ気味。フォーカスも甘くなるので、視野はすこし制限される状態。でも、僕の場合はかぶっている方が集中できたんです。

普段の僕の目、余分な情報を拾いすぎているのかもしれませんね…。


Apple Vision Proでイマイチだったところ

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Image: 小暮ひさのり

1.長時間だと「重さ」はやっぱり感じる

やっぱここなんですよね。

正面を向く姿勢になるので、首への負担は思ったほどではないわけで、バンドの締め付けもかなり良く荷重を分散していて…。とかフォローはできるんですが、長時間使うにゃやっぱ600gは重いのです(あと蒸れます)。

1日装着して生きていくのはちょっと嫌だなぁ〜…。

2.移動中での操作は若干不安定

特に新幹線の中で感じたのですが、高速での移動中では「トラベルモード」になり、トラッキングの精度がかなり落ちます。

正面を向いている分にはまぁ問題ないレベルですが、手元のスマホを見るとトラッキングが外れてアラートが表示されちゃいました。手を使った操作も制限されるので、移動中では外部ディスプレイとして割り切った方がいいですね。

3.MacBookの画面が暗転しちゃって2画面使えないのは勿体無い

メリットで言ったMacの画面が暗転するから安心! の対を成すところ。

Apple Vision ProにMacの画面を表示すると、Macの画面は消えちゃうので、上下2画面のマルチディスプレイはできません。外部アプリを使えばどうやらできるようになるらしいので、そっちも準備しておくべきでした。

4.使うまで時間がかかる

Macの場合はカバンから取り出して画面を開ける。だけ。

一方で、Apple Vision Proはケースから取り出して、バッテリーを接続して、電源を入れて、かぶって、Macと無線で接続して、ウインドウのサイズや配置を調整してやっと使えます。じっくり腰を据えての作業ならアリですが、スキマ時間の作業向けではありませんねー…。


出先の仕事で使えなくないけど、僕は持ち歩かなくていいかな

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Photo: 小暮ひさのり

今回は新幹線の中やフェリーの中、ホテルのラウンジなどで使ってみましたけど、メリットもあればデメリットもあり、手放しですげー! はできませんね。

やっぱApple Vision Proを仕事に導入するメインの利点って、「省スペースでバカデカ画面で仕事できる」なところ。でも、価格の高さ故に雑に扱えません。また、MacやPCといった母艦が必要で、セットアップにも手間がかかるので「移動」とはちょっと相性良くない気がします。

そして、外部ディスプレイとして使うんだったら、Apple Vision Proの他にも選択肢あるわけで…。うん、なんというか、外出時にやりたいこと(PCワーク)のレベルに比べてApple Vision Proはオーバースペックなんです。

ただ、Apple Vision Proだけで仕事が完結するようになったら、この話はたぶんちょっと変わってきます。

日本版が出て、日本語入力を正式にサポートして、普段使っているアプリが軒並みVisionOSに対応して、お気に入りのキーボードだけ持ち歩けば、PC要らずでバカデカ画面で仕事できる!

とかになると、かなり実用的になるのでは? ただ、そうにしてもやはり持ち運びには気を使うし視覚的や作業的内容な制限ももちろんあるので、そこが許容できる人向け…かなぁ。

仮想空間ですべてなんとかするだけが「効率的」じゃない気がするので。現状はね。


Source: Apple, Splitscreen